平成16年度より、厚生労働科学研究費の補助金を得て、「医療安全と質を保証する患者状態適応型パス統合化システム開発研究」が進められています。
その中間成果報告シンポジウムの情報が寄せられましたので、掲載いたします。シンポジウムは年二回開催しており、今回は秋の中間報告です。詳細はホームページをご覧下さい。 なお、本研究は、(社)日本品管理学会内の「医療の質・安全部会」が後援しています。
「医療安全と質を保証する患者状態適応型パス統合化システム開発研究」
これまでに医療界で用いられているパスは、症例への適用率が低く、当たり前のあるパターンについてのみ適用できるものが大半を占めていました。しかし本来パスは、患者状態の変化に適応しつつ、臨床プロセスで診療の質と安全とを作りこみ、確認するツールとして存在すべきで、そういうパスであれば、必然的に適用率が高くなります。そこで、本研究の一つとして、患者状態を基軸とした、医療安全と質保証を実現するパス(患者状態適応型パス:PCAPS)開発を行っています。もちろん「実装」してこそ意味があるため、臨床プロセスチャートの有効性を病院(2006年度調査では56病院が協力)で検証し、改良を繰り返すことで、電子コンテンツの精度を高め、現実的で効果的な「電子化」を目指しています。
中間成果報告シンポジウム
初日である9月15日には、2007年における本研究の中間成果として、13領域の臨床プロセスチャートの有効性、意義や今後の課題を報告するとともに、電子化実現に向けてのパネルディスカッションを行います。
本研究では、今後、医療の質安全保証の一環である本ツールを実際に活用し、その有効性の検証のための分析手法や、分析結果を医療の質安全保証だけでなく医療質経営へとつなげるための方法論へと発展させていく計画です。そこで、2日目には、患者状態適応型パスシステムのさらなる展開、機能の充実を目指し、医療の質マネジメントシステムとの統合化、連動化等について、研究発表やパネルディスカッションを行います。
平成19 年度 中間成果報告シンポジウム プログラム(案)
■9月15日(土)
10:00~12:00
○PCAPS 領域別発表 「PCAPS 電子コンテンツの意義と課題」 (順不同、「領域名:領域リーダー」)
- 泌尿器科:田中 良典(武蔵野赤十字病院)
- 循環器科:山内 孝義(水戸総合病院)
- 整形外科:勝尾 信一(福井総合病院)
- 小児科:吉田 茂(名古屋大学医学部附属病院)
- 神経内科:高橋 眞冬(青梅市立総合病院)
- 呼吸器外科:矢野 真(武蔵野赤十字病院)
- NICU:加部 一彦(愛育病院)
- 消化器内科:蒲生 真紀夫(みやぎ県南中核病院)
- 呼吸器内科:蝶名林 直彦(聖路加国際病院)
- 救急:織田 順(東京医科大学)
- がん:河村 進(四国がんセンター)
- 糖尿病:菅野 一男(武蔵野赤十字病院)
- 生体肝移植:田中 紘一(先端医療センター)
13:00~17:00
○パネルディスカッション 「PCAPS 電子コンテンツの意義と課題」
○ワークショップ 「PCAPS 連携システム:連携のタイプと必要とする連携メカニズム」
- 急性期病院主導型:「前立腺肥大症・がん」と「高血圧」
- 超専門診療所主導型:糖尿病
- 拠点病院主導型:がん疼痛マネジメント
■9月16日(日)
10:00~12:00
○PCAPS 統括班発表 「PCAPS 統合システムの設計構想」
- 医療の質マネジメント統合システム(PCAPS-QMS 統合システム)
- 医療における質中心経営管理システム(QMS-H)
- 臨床知識の構造化システム(PCAPS)
- PCAPSアドミニストレータ機能
13:00~17:00
○ワークショップ 「PCAPS アドミニストレータ・PCAPS コンテンツ対応型電子カルテの開発」
- 試験的PCAPS システムの具体的事例紹介(予定)
- PCAPSコンテンツ対応型電子カルテ開発の試み(予定)
○パネルディスカッション 「PCAPS アドミニストレータが持つべき機能の実現」