医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2022年12月 9日
No.469「くも膜下出血により入院していた患者が低酸素脳症に陥り、その後死亡。生体情報モニタのアラーム設定確認が不十分だったとして大学病院の過失が認められた地裁判決」

東京地方裁判所令和2年6月4日判決 判例タイムズ1488号229頁 (争点) 医療従事者に、生体情報モニタのアラーム設定を誤り、これを見落とした過失の有無 *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) A(事故当時66歳の男性。統合失調症の既往歴あり)は、平成27年(以下、特段の断りのない限り同...

2022年12月 9日
No.468「12歳男子が脊椎麻酔をかけての急性虫垂炎の手術中に心停止が起こり、脳障害の後遺症で回復不能となる。心電図モニタを装着しなかった過失等があるとして、県立病院の責任が認められた事案」

青森地方裁判所平成6年12月20日判決 判例時報1552号107頁 (争点) 心電図モニタを装着しなかった過失があるか否か 看護師が持ち場を離れたことに関する過失があるか否か *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) 昭和62年4月2日、◇1(当時12歳の男子)は腹痛のためかかりつけの内科で...

2022年11月10日
選択のポイント【No.466、467】

今回は、手術後の容体悪化に対する医師の対応について、病院側の責任が認められた事案を2件ご紹介します。 No.466の裁判例では、病院側は、看護記録に患者の容態につき「22時30分呼吸停止」との記載があることにつき、これは、苦しいという発言がなくなり、ぐったりとしたという意味であり、文字通り呼吸が停止...

2022年11月10日
No.467「脳動脈瘤のクリッピング手術を受けた患者が、脳内出血による腎不全に基づく急性心肺機能不全で死亡。医師に術後の緊急事態に対応する措置を怠った過失があったとして、病院側に責任が認められた地裁判決」

水戸地方裁判所平成17年2月23日判決 判例タイムズ1242号267頁 (争点) 第2回手術後の措置が不適切であったか否か(更に開頭手術を実施する必要性があったか、同手術を実施すれば救命の可能性があったか否か) *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) A(当時65歳の男性)は、平成4年(以...

2022年11月10日
No.466「耳下腺腫瘍摘出手術を受けた患者が心不全により死亡。患者遺族の請求を棄却した一審判決を変更し、国立病院医師らに気道狭窄、気道閉塞後の救命措置に関する注意義務違反があったと認定して患者遺族の請求を一部認容した高裁判決」

東京高等裁判所平成14年4月24日判決 判例時報1799号113頁 (争点) 気道狭窄、気道閉塞後の救命措置に関する注意義務違反の有無 *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) A(死亡当時20歳の男性で、都立高校定時制課程の3年生)は、耳下腺腫瘍の既往歴があり、その最初は、平成2年11月2...

2022年10月 7日
選択のポイント【No.464、465】

今回は、入院・入所中の患者・入所者が転倒、負傷した事故につき、病院・施設側の責任が認められた裁判例を2件ご紹介いたします。 No.464の事案では、裁判所は、貧血で失神を起こして病院内の身体障害者用トイレで転倒した患者について、患者も、排便後立ち上がり、降ろしていた下着を戻した時点で、ナースコールで...

2022年10月 7日
No.465「介護老人保健施設の入所者が汚物処理場で転倒し、負傷。施設経営法人に債務不履行責任及び工作物責任を認めた地裁判決」

福島地方裁判所白河支部平成15年6月3日判決 判例時報1838号116頁 (争点) 債務不履行責任の有無 民法717条の責任の有無 *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) ◇(当時95歳の女性)は、社会福祉法人△との間で、平成12年10月27日ころ、◇が△の設置経営する介護老人施設(以下、...

2022年10月 7日
No.464「虫垂切除術を受け、その後下血の続いた入院患者が、貧血で失神を起こしてトイレで転倒。患者に重い後遺障害が残ったことにつき医師らの過失を認めた地裁判決」

名古屋地方裁判所豊橋支部平成15年3月26日判決 判例タイムズ1188号301頁 (争点) 医師および看護師らの術後管理上の過失の有無 *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) ◇(転倒事故当時26歳の女性)は、平成8年7月4日午後8時(以下、特段の断りのない限り、同月のこととする。)ころ、...

2022年9月 8日
選択のポイント【No.462、463】

今回は、患者が死亡した事案で、薬剤投与に関する医師の過失が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.462の事案では、医師の過失と患者の死亡との因果関係も争点となりました。 この点につき、裁判所は、医師が抗凝固薬の休薬期間を手術前1週間ではなく、長くとも78時間程度としていれば、休薬後の心房内の血...

2022年9月 8日
No.463「膠芽腫の再発により生命予後は約3ヶ月と予測されていた患者が中毒性表皮壊死症による両側肺炎及び肺出血により死亡。添付文書の用法・用量の定めに反した抗てんかん薬を処方した医師の過失を認めた地裁判決」

東京地方裁判所令和2年6月4日判決 ウェストロージャパン (争点) 医師のラミクタールの投与上の過失の有無 *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) 平成25年9月1日、A(死亡当時43歳の女性)は意識を失って倒れ、搬送先の病院において左前頭葉出血を伴う脳腫瘍を指摘され、同月7日、C病院に転...

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