医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2004年1月28日
No.14 「開業医に転送義務違反を認定。急性脳症患者の請求を棄却した高裁判決を最高裁判所が破棄差戻し」

平成15年11月11日 最高裁判所第三小法廷判決 (争点) 開業医に高度な医療を施すことのできる適切な医療機関への転送義務を怠った過失があったか 上記転送義務違反と、患者の急性脳症による後遺障害との間の因果関係が証明されなくても、転送されていれば患者に重大な後遺障害が残らなかった相当程度の可能性があ...

2003年12月25日
選択の視点【No.11、12、13】

今回は、最高裁判所のホームページで紹介された、高等裁判所の判決(控訴審判決)からご紹介します。 控訴した側を控訴人、控訴された側を被控訴人と呼びます。 No.11の判決は、患者側の請求を大部分認めた一審判決に対して、病院側が控訴したものですが、控訴審は控訴を棄却しました。 No.12の判決は、一審の...

2003年12月25日
No.13 「県が設置した2次救急病院で、交通事故患者が外傷性急性心タンポナーデにより死亡。県の責任を認定」

平成15年10月24日 大阪高等裁判所判決 (争点) 被控訴人Eが十分な検査をせず、心嚢内の血液の貯留を見落とした過失の有無 損害 (事案) Fが平成5年10月8日午後4時23分ころ、Jを助手席に乗せた乗用車を運転中に民家のブロックに衝突した。FとJは、救急車でP県(被控訴人P県)が設置した本件病院...

2003年12月25日
No.12 「大学病院での不妊治療で排卵誘発剤の副作用により後遺障害。病院側の説明義務違反を認定」

平成15年8月27日 仙台高等裁判所秋田支部判決 (争点) 副作用防止注意義務違反 重症化予防注意義務違反 脳血栓症発症予防注意義務違反 説明義務違反 損害 (事案) 第1審原告(事故当時30歳の女性)が、第1審被告の設置するA大学医学部付属病院で排卵誘発剤を使用した不妊治療を受け、卵巣過剰刺激症候...

2003年12月25日
No.11 「脳動脈破裂予防術。多数回のクリップかけ直し等の過失を認定」

平成15年7月16日 名古屋高等裁判所判決 (争点) 手術の手技上の過失があったか (事案) 被控訴人(事故当時58歳)が、控訴人(地方公共団体)の経営する病院において、同病院脳神経外科のA医師及びF医科大学脳神経外科助教授のB医師の執刀により、右内頸動脈と脳底動脈の2箇所の動脈瘤について、開頭術に...

2003年12月 2日
選択の視点【No.8、9、10】

今回も、最高裁判所のホームページで紹介された、地方裁判所の判決からご紹介します。 病院側に過失(注意義務違反)があっても、その過失と患者に生じた結果との間に相当因果関係がなければ、その過失については病院側に責任は生じません。損害賠償の範囲も、過失と相当因果関係のある損害に限られます。 No.8の判決...

2003年12月 2日
No.10 「双子出産後MRSA感染から低酸素脳症により重度後遺障害。大学病院にバンコマイシン投与が遅れた過失を認定」

平成15年10月7日 東京地方裁判所判決 (争点) 原告AがARDS、DIC、MOFに陥った原因 上記原因がMRSAであるとして、被告病院には早ければ7月14日から、遅くとも同月17日朝から、原告Aに抗生剤バンコマイシンを投与する義務があったか 上記の投与を行っていれば、原告Aの心停止を回避すること...

2003年12月 2日
No.9 「ガラス片で腕に創傷を負い、救急搬送された患者を入院治療した病院に、受傷翌日までに整形外科を受診させるべき注意義務を認定」

平成15年9月25日 名古屋地方裁判所判決 (争点) 原告の後遺障害の原因 神経損傷、腱損傷等への対応に関する注意義務違反の有無 阻血解消措置を行わなかった注意義務違反の有無 因果関係 損害 (事案) 原告は、本件当時48歳の男性、被告は病院の開設者(法人)。原告が自宅で転倒して左前腕をガラスで負傷...

2003年12月 2日
No.8 「脳腫瘍開頭手術後患者が脳梗塞発症で死亡、治療方法の選択、決定段階における医師の過失、説明義務違反、術後脳梗塞の発見、治療上の注意義務違反を認定」

平成15年6月26日 福岡地方裁判所小倉支部判決 (争点) 亡Fの疾患を頭蓋咽頭腫と誤診した過失があったか 亡Fに対する開頭手術の適応を誤って、本件開頭手術を行った過失があるか 本件開頭手術の手術操作上の注意義務違反の有無 気管内チューブの管理上の注意義務違反の有無 MRSA感染に関する注意義務違反...

2003年10月31日
選択の視点【No.5、6、7】

今回は、最高裁判所のホームページで紹介された、地方裁判所の判決からご紹介します。 No.5は、刑事事件の判決です。量刑の理由を読むと、民事事件の判決とは視点が異なる部分も多いと感じられると思います。 なお、「禁錮」というあまり馴染みのない刑が宣告(ただし執行猶予付き)されています。「懲役」と「禁錮」...

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