医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2005年4月25日
No.44「市立病院での双子の分娩で、第二子が重度の仮死・無酸素脳症で出生し、その後死亡。医師に人工破膜の処置上の過失を認め、市と医師に損害賠償を命じる地裁判決」

名古屋地方裁判所 平成12年7月3日判決(判例時報1738号88頁) (争点) 医師の過失の有無 因果関係 (事案) Aは、平成2年11月5日、妊娠していることが判明し、以後定期的に、S病院の診察を受けていたところ、その過程で双胎であると診断された上、平成3年5月22日の定期診察において妊娠中毒症で...

2005年3月22日
選択の視点【No.42、43】

今回は、入院患者が殺人に及んだことについて、病院の責任が認められた判決をご紹介します。 なお、判決紹介においては、実際の判決文で「看護士」と表記されている箇所は「看護師」に、「精神分裂病」と表記されている箇所は「統合失調症」に、それぞれ変更してご紹介しております。なお、平成17年2月に国会に提出され...

2005年3月22日
No.43「同室の患者による殺人事件で、医師に安全配慮義務違反ありとして病院の責任を認める判決」

平成12年10月16日大津地方裁判所民事部判決(判例タイムズ1107号277頁) (争点) Bが同室患者Aを殴打して死亡させた原因 Y病院の医師に、安全配慮義務違反があったか (事案) 患者A(昭和3年生まれ)は、平成6年3月2日から脳動脈瘤破裂(くも膜下出血)、脳梗塞症等で、T病院脳外科に入院して...

2005年3月22日
No.42 「県立精神病院に措置入院中の精神障害者が無断離院して通行人を殺害。県の責任認める高裁判決を最高裁も維持」

平成8年9月3日最高裁判所第3小法廷判決(判例タイムズ931号170頁) (争点) 県立病院の院長、担当医師、看護師らには、措置入院中の統合失調症患者が無断離院をして他人に危害を及ぼすことを防止すべき注意義務を尽くさなかった過失があるか (事案) Aは、昭和51年ころから統合失調症が進行し始め、社会...

2005年2月22日
選択の視点【No.40、41】

今回は、医療機関の設備や医療機器に起因する医療機関の責任が認定された判決を紹介いたします。 No.40の判決では、防火扉の設置の瑕疵自体については病院側も争ってはいません。転倒事故及び骨折には、患者側の疾患が寄与していることを斟酌(過失相殺の類推適用)して、損害賠償を減額すべきかどうかが主要な争点と...

2005年2月22日
No.41「心臓手術中に人工心肺装置の送血ポンプのチューブに亀裂が生じ、空気混入で患者が脳梗塞に。送血ポンプの製造会社に警告義務違反、市立病院の臨床工学技士に安全性保持義務違反があったとして、製造会社と市に損害賠償を命ずる高裁判決」

平成14年2月7日 東京高等裁判所判決(判例時報1789号78頁) (争点) 本件事故発生について、本件ポンプを含む本件人工心肺装置を操作したK病院の臨床工学技士に過失(義務違反)があるか 本件事故発生について、本件ポンプを製造したT社に製造上の過失、操作する者に対する説明義務違反又は警告義務違反が...

2005年2月22日
No.40「子供が触れて閉じ始めた病院廊下の防火扉に、歩行不自由な高齢女性入院患者が接触して転倒・骨折。患者の既往症を減額理由とせず病院に損害賠償を認めた判決」

平成12年8月31日福島地方裁判所会津若松支部判決(判例時報1736号113頁) (争点) 本件事故後の患者の後遺障害等級及び後遺障害慰謝料額 患者の既往症(疾患)が転倒及び骨折に寄与している場合に、当該疾患を損害賠償額の算定に当たって斟酌(過失相殺の類推適用)し、損害額を減額することが許されるか ...

2005年1月26日
選択の視点【No.38、39】

今回は、医師の過失が認定された高等裁判所(No.38)と最高裁判所(No.39)の判決を紹介いたします。 No.38の判決は、医師の過失と患者の死亡との因果関係があると認定しました。そして、損害賠償の内容としては、慰謝料の他に、逸失利益(生存していれば得られたであろう収入等)や葬儀費用も認めています...

2005年1月26日
No.39「医師の過失と患者の死亡との因果関係が証明されない場合でも、適切な医療がなされていれば、救命できた相当程度の可能性がある場合、過失ある医療をした医師は損害賠償責任を負うとした最高裁判決」

平成12年9月22日 最高裁判所第二小法廷判決(判例時報1728号31頁) (争点) 医師が医療水準にかなった医療をしなかった場合において、医療行為と患者の死亡との間の因果関係の存在は証明されないけれども、医療水準にかなった医療が行われていれば患者がその死亡の時点においてなお生存していた相当程度の可...

2005年1月26日
No.38「ボルタレンとステロイド剤の併用投与後、患者が出血性胃潰瘍を発症し、その後死亡。県立病院担当医師に副作用についての検査義務を怠った過失を認め、県に損害賠償を命じた高裁判決」

平成11年6月10日 大阪高等裁判所判決(判例時報1706号41頁) (争点) 医師の過失の有無 死亡原因との相当因果関係 過失相殺 (事案) 患者A(死亡当時62歳の男性)は、平成5年11月16日、K耳鼻科で咽喉頭炎と診断され、治療を受け、ステロイド剤の点滴及びボルタレン(非ステロイド系消炎鎮痛剤...

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