医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2005年2月22日
No.41「心臓手術中に人工心肺装置の送血ポンプのチューブに亀裂が生じ、空気混入で患者が脳梗塞に。送血ポンプの製造会社に警告義務違反、市立病院の臨床工学技士に安全性保持義務違反があったとして、製造会社と市に損害賠償を命ずる高裁判決」

平成14年2月7日 東京高等裁判所判決(判例時報1789号78頁) (争点) 本件事故発生について、本件ポンプを含む本件人工心肺装置を操作したK病院の臨床工学技士に過失(義務違反)があるか 本件事故発生について、本件ポンプを製造したT社に製造上の過失、操作する者に対する説明義務違反又は警告義務違反が...

2005年2月22日
No.40「子供が触れて閉じ始めた病院廊下の防火扉に、歩行不自由な高齢女性入院患者が接触して転倒・骨折。患者の既往症を減額理由とせず病院に損害賠償を認めた判決」

平成12年8月31日福島地方裁判所会津若松支部判決(判例時報1736号113頁) (争点) 本件事故後の患者の後遺障害等級及び後遺障害慰謝料額 患者の既往症(疾患)が転倒及び骨折に寄与している場合に、当該疾患を損害賠償額の算定に当たって斟酌(過失相殺の類推適用)し、損害額を減額することが許されるか ...

2005年1月26日
選択の視点【No.38、39】

今回は、医師の過失が認定された高等裁判所(No.38)と最高裁判所(No.39)の判決を紹介いたします。 No.38の判決は、医師の過失と患者の死亡との因果関係があると認定しました。そして、損害賠償の内容としては、慰謝料の他に、逸失利益(生存していれば得られたであろう収入等)や葬儀費用も認めています...

2005年1月26日
No.39「医師の過失と患者の死亡との因果関係が証明されない場合でも、適切な医療がなされていれば、救命できた相当程度の可能性がある場合、過失ある医療をした医師は損害賠償責任を負うとした最高裁判決」

平成12年9月22日 最高裁判所第二小法廷判決(判例時報1728号31頁) (争点) 医師が医療水準にかなった医療をしなかった場合において、医療行為と患者の死亡との間の因果関係の存在は証明されないけれども、医療水準にかなった医療が行われていれば患者がその死亡の時点においてなお生存していた相当程度の可...

2005年1月26日
No.38「ボルタレンとステロイド剤の併用投与後、患者が出血性胃潰瘍を発症し、その後死亡。県立病院担当医師に副作用についての検査義務を怠った過失を認め、県に損害賠償を命じた高裁判決」

平成11年6月10日 大阪高等裁判所判決(判例時報1706号41頁) (争点) 医師の過失の有無 死亡原因との相当因果関係 過失相殺 (事案) 患者A(死亡当時62歳の男性)は、平成5年11月16日、K耳鼻科で咽喉頭炎と診断され、治療を受け、ステロイド剤の点滴及びボルタレン(非ステロイド系消炎鎮痛剤...

2004年12月14日
選択の視点【No.36、37】

今回は、「がん告知」に関する判決を2件ご紹介いたします。 「がん告知」、とりわけ進行性末期がんのように、「死」に近い病名の告知について、旧来の判例は、「医師の裁量」を広く認める傾向にありましたが、次第に「患者の自己決定権」を重視するようになりました。 そして、今回ご紹介するNo.36の最高裁判所判決...

2004年12月14日
No.37「人間ドックの健康診断で癌の可能性説明せず。病院の過失を認める地裁判決」

平成15年3月13日東京地方裁判所判決 損害賠償請求事件 (争点) 病院が人間ドックに関する契約上の義務(癌の可能性についての説明等)を果たしたか 患者の死亡とF病院の債務不履行との間に因果関係があるか 損害額 (事案) 患者G(当時74歳の男性。27歳ころ肺結核を患い、片肺を手術により切除していた...

2004年12月14日
No.36「末期がん患者につき家族への告知をしなかったことが医師の診療契約に付随する義務違反とする最高裁判決」

平成14年9月24日最高裁第三小法廷判決(判例時報1803号28頁) (争点) 高齢の患者本人に末期がんであると告知するのは適当でないと考えていた医師に、連絡が容易な患者の家族に対して告知する義務があったか否か (事案) 主に成人病に関する諸疾患の調査及び診断・治療を行うことを目的とする財団法人Y ...

2004年11月26日
選択の視点【No.34、35】

今回は、医薬品の添付文書の記載と、投与した医師の注意義務との関係が争点となった判決を2件ご紹介します。 なお、No.34判決の紹介にあたっては、一審判決(広島地方裁判所平成5年9月20日・判例時報1527号128頁)も参考にしました。 これらの判決に先立つ、最高裁判所平成8年1月23日判決は、「医薬...

2004年11月26日
No.35「国立大学医学部付属病院耳鼻咽喉科で耳の治療を受けた患者が点耳薬の副作用により難聴。医師に添付文書記載の注意事項を守る義務違反等の過失ありとの地裁判決」

平成15年4月22日福岡地方裁判所判決(損害賠償請求事件)判例時報1837号87頁 (争点) リンデロンA液の投与を選択したことが医師の裁量を逸脱しているか Xの難聴の原因はリンデロンA液の投与によるものか リンデロンA液の投与にあたっての、Y病院医師らの注意義務違反の有無 (事案) X(難聴になっ...

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