医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2005年5月24日
選択の視点【No.46、47】

今回は、小児科に関連する医療事故で病院の責任が認められた判決をご紹介します。このうち、46の判決は、医師だけでなく、薬剤師にも連帯責任が認められた事案です。また、裁判所が認容した損害賠償の内訳の中に、「弁護士照会」という記載がありますが、これは弁護士法第23条の2に規定する制度を利用した、病院宛ての...

2005年5月24日
No.47「小児喘息患者が容態急変して死亡。治療効果の見極めを怠った医師の過失を認めた判決」

富山地方裁判所高岡支部 平成13年2月28日判決(判例時報1761号107頁) (争点) 診察を担当した医師の過失の有無 (事案) 患者A(平成4年6月生まれの男子)は、平成7年1月24日ころ発熱し、26日早朝に息苦しさを訴え、同日午前7時50分ころ救急車でTクリニックに運ばれた。Tクリニックの医師...

2005年5月24日
No.46「副作用成分が常用量を大幅に上回る薬剤を新生児に処方・調剤。医師と薬剤師の連帯責任を認めた判決」

千葉地方裁判所 平成12年9月12日判決(判例時報1746号115頁) (争点) 処方が適切であったか 処方と症状との因果関係 医師・薬剤師の過失 (事案) 患者A(生後4週間の新生児)は、平成7年10月16日午前11時ないし11時30分ころ、母親に帯同されてY産婦人科健康診断クリニック(Y医師が開...

2005年4月25日
選択の視点【No.44、45】

今回は、分娩に関連する医療事故で病院の責任が認められた判決をご紹介します。 判決中に「助産婦」とあるのは、「助産師」に変更してご紹介しております。 このうち、No.45の判決は、一審(東京地裁)では、患者側の請求が全部棄却され、控訴審で逆転した事案です。裁判の争点の一つが、患者に生じた脳出血が、妊娠...

2005年4月25日
No.45「妊娠中毒症に罹患していた妊婦が陣痛促進剤の投与などから、出産過程で脳出血を発症し、左半身麻痺などの後遺症。医師らの責任を認める高裁判決」

東京高等裁判所 平成13年1月31日判決(判例タイムズ1071号221頁) (争点) 脳出血の発症時期及び原因 脳出血の予見可能性 血圧監視義務違反及び母体監視義務違反 因果関係 (事案) 患者Xは、昭和38年6月30日生まれ(出産当時28歳)の女性で、平成3年3月に妊娠し、平成4年1月1日を分娩予...

2005年4月25日
No.44「市立病院での双子の分娩で、第二子が重度の仮死・無酸素脳症で出生し、その後死亡。医師に人工破膜の処置上の過失を認め、市と医師に損害賠償を命じる地裁判決」

名古屋地方裁判所 平成12年7月3日判決(判例時報1738号88頁) (争点) 医師の過失の有無 因果関係 (事案) Aは、平成2年11月5日、妊娠していることが判明し、以後定期的に、S病院の診察を受けていたところ、その過程で双胎であると診断された上、平成3年5月22日の定期診察において妊娠中毒症で...

2005年3月22日
選択の視点【No.42、43】

今回は、入院患者が殺人に及んだことについて、病院の責任が認められた判決をご紹介します。 なお、判決紹介においては、実際の判決文で「看護士」と表記されている箇所は「看護師」に、「精神分裂病」と表記されている箇所は「統合失調症」に、それぞれ変更してご紹介しております。なお、平成17年2月に国会に提出され...

2005年3月22日
No.43「同室の患者による殺人事件で、医師に安全配慮義務違反ありとして病院の責任を認める判決」

平成12年10月16日大津地方裁判所民事部判決(判例タイムズ1107号277頁) (争点) Bが同室患者Aを殴打して死亡させた原因 Y病院の医師に、安全配慮義務違反があったか (事案) 患者A(昭和3年生まれ)は、平成6年3月2日から脳動脈瘤破裂(くも膜下出血)、脳梗塞症等で、T病院脳外科に入院して...

2005年3月22日
No.42 「県立精神病院に措置入院中の精神障害者が無断離院して通行人を殺害。県の責任認める高裁判決を最高裁も維持」

平成8年9月3日最高裁判所第3小法廷判決(判例タイムズ931号170頁) (争点) 県立病院の院長、担当医師、看護師らには、措置入院中の統合失調症患者が無断離院をして他人に危害を及ぼすことを防止すべき注意義務を尽くさなかった過失があるか (事案) Aは、昭和51年ころから統合失調症が進行し始め、社会...

2005年2月22日
選択の視点【No.40、41】

今回は、医療機関の設備や医療機器に起因する医療機関の責任が認定された判決を紹介いたします。 No.40の判決では、防火扉の設置の瑕疵自体については病院側も争ってはいません。転倒事故及び骨折には、患者側の疾患が寄与していることを斟酌(過失相殺の類推適用)して、損害賠償を減額すべきかどうかが主要な争点と...

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