医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2005年9月26日
No.54「患者の死因について遺族に誤った事後説明をした医師に損害賠償義務を認める判決」

広島地方裁判所 平成4年12月21日判決(判例タイムズ814号202頁) (争点) 患者の死因が誤飲による窒息死であったか否か 患者の死亡について、医師らに過失があったか否か 遺族に対して誤った事後説明を行ったことにつき、説明をした医師に慰謝料支払義務があるか、あるとすればどのような場合か (事案)...

2005年8月25日
選択の視点【No.52、53】

今回は、看護師(判決当時は「看護婦」の用語が使用されていました)の過失が争点となった判決を2件ご紹介します。No.52では看護師に過失があると認定され、No.53では、看護師の過失は否定されましたが、担当医には過失があると認定されました。 戦前の判例には、看護師は医師の手足のようなものであり、看護師...

2005年8月25日
No.53「手術後の麻酔薬注入により患者がショック状態、その後死亡。看護師の責任は否定、主治医、病院管理者、病院の責任を認める判決」

大阪地方裁判所 平成11年3月8日判決(判例タイムズ1034号222頁) (争点) 主治医O医師の責任 K看護師の責任 病院管理者H医師の責任 病院を開設するY教団(宗教法人)の責任 (事案) 患者A(死亡当時88歳の女性)は、平成5年8月21日、転倒して左大腿部頚部を骨折し、Y教団(宗教法人)が開...

2005年8月25日
No.52「手術後の縫合不全から患者死亡。当直看護師の対応に過失ありとして、医療法人に損害賠償責任を認める判決」

大阪地方裁判所 平成11年2月25日判決(判例タイムズ1038号242頁) (争点) W医師の術後の措置に過失があったか S医療法人の責任 損害 (事案) 患者A(死亡当時62歳の女性)は、腹痛と腹部膨満感、嘔吐の症状により、平成8年5月19日にS医療法人が経営するS病院に入院した(大腸癌に起因する...

2005年7月20日
選択の視点【No.50、51】

今回は医療事故で研修医に刑事責任が課せられた判決を2件ご紹介します(No.51の判決中、看護婦と記載されている箇所は看護師に修正してご紹介しています)。 刑事事件の判決なので、紹介の仕方が、民事事件とは若干異なり、損害賠償額などの記載はありません。 両方の判決とも、研修医であれ、医師として患者の診療...

2005年7月20日
No.51「県立病院の脊髄造影検査で、研修医が尿路血管造影剤を誤注入し患者死亡。研修医に業務上過失致死罪による禁錮10ヶ月、執行猶予2年の有罪判決」

甲府地方裁判所 平成6年6月3日判決(判例タイムズ1035号37頁) (争点) 判決理由の「罪となるべき事実」に示された、A医師の注意義務と過失 量刑(禁錮10月、執行猶予2年)の理由 (事案) 被告人A医師は、Y県立中央病院の研修医として、平成4年4月8日午後1時30分頃、患者V(当時58歳の女性...

2005年7月20日
No.50「集中治療室内の2歳男児に対する救急措置が遅れ、全治不明の低酸素性脳症。付き添っていた臨床研修医に業務上過失傷害罪で罰金刑の判決」

広島地方裁判所 平成15年3月12日判決(判例タイムズ1150号302頁) (争点) 判決理由の「罪となるべき事実」に示された、A医師の注意義務と過失 被告人(臨床研修医)の注意義務の根拠 (1)「主治医」であることによるものか (2) 具体的な注意義務は何か 量刑(罰金20万円)の理由 (事案) ...

2005年6月21日
選択の視点【No.48、49】

今回は、院内感染に関する判例をご紹介します。 ところで、紹介の中では割愛していますが、判決主文では、「訴訟費用の負担」についても判断が示されますNo.48の判決では、訴訟費用の10分の9を原告負担、10分の1を被告負担としています。No.49の判決では、訴訟費用の4分の1を原告負担、4分の3を被告負...

2005年6月21日
No.49「心臓手術を受けた後、MRSA感染症で患者が死亡。病院の責任を認める判決」

前橋地方裁判所高崎支部 平成13年3月22日判決(判例タイムズ1120号246頁) (争点) MRSA感染に対する検査治療上のY医師の過失 (事案) 昭和56年7月9日生まれの男子Aは、生まれつき心房中隔欠損症であったため、平成6年2月1日、G大学付属病院において、手術を受け、その後も心筋症あるいは...

2005年6月21日
No.48「市立病院内の給食でサルモネラ菌に感染し、末期癌患者が死亡。遺族から市に対する慰謝料請求を認める判決」

大阪地方裁判所 平成12年1月24日判決(判例時報1738号83頁) (争点) S病院の過失(1)(入院患者へのサルモネラ菌感染)の有無 S病院の過失(2)(サルモネラ菌感染発見の遅れ)の有無 D医師の過失(1)(サルモネラ菌感染発見の遅れ)の有無 D医師の過失(2)(IVH長期抜去)の有無 因果関...

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