医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2005年12月 9日
No.61「睡眠時無呼吸症候群の患者に対するUPPP手術後、患者が死亡。病院の責任を認める高裁判決」

仙台高等裁判所平成14年4月11日判決 判例タイムズ1182号302頁 (争点) Aの死亡原因 過失 (事案) 患者A(昭和23年生まれの男性。軽度の肥満)は、平成4年2月3日から、Y労災病院(Y病院)呼吸器内科のいびき外来で、M医師の診察を受け、同月19日から20日にかけての睡眠時無呼吸モニター検...

2005年12月 9日
No.60「大学生が国立病院での腫瘍摘出手術後に出血が続き、ショック状態から重度後遺障害。国の責任を認める判決」

名古屋地方裁判所平成11年2月5日判決 判例時報1701号101頁 (争点) 本件ショックの原因 医師らの過失の有無・内容 (事案) 患者X(昭和37年生まれの男性・大学生)は、昭和57年10月にY大学医学部附属病院(Y病院)で左頸部腫瘍(ガマ腫)の摘出手術を受け、昭和58年4月頃、再び腫れが生じ、...

2005年11月16日
選択の視点【No.58、59】

今回は、分娩に関して病院側の責任が認められた高裁判決を2件ご紹介いたします。 1)最高裁判所がホームページのお知らせコーナー中の「医事関係訴訟委員会について」の項目で、医事関係訴訟に関する統計を公表していますが、そのうちの、「医事関係訴訟事件の診療科目別新受件数」によれば、産婦人科についての訴訟事件...

2005年11月16日
No.59「新生児に脳性麻痺の後遺症。分娩誘発剤投与に関する分娩監視義務を怠った市立病院の過失を認定した高裁判決」

福岡高裁平成16年12月1日判決 判例時報1893号28頁 (争点) 分娩誘発についての説明義務違反の有無 適応のない分娩誘発を実施した過失の有無 適切な分娩監視を怠った過失の有無 (事案) X1は平成5年3月2日、F市立F市民病院に入院し、同月3日午前9時8分ころから、分娩誘発剤(子宮収縮剤)であ...

2005年11月16日
No.58「分娩時の過失により胎児が仮死状態で出生、その後死亡。高裁で、医師の責任を認める逆転判決」

名古屋高裁平成14年2月14日判決 判例時報1813号91頁 (争点) 分娩が遷延した場合における医師の注意義務 (事案) X1は、平成5年9月4日、Yが経営する産婦人科病院(Y医院)を受診し、妊娠第八週と診察され、その後の経過は順調であった。X1は、陣痛を訴えて、平成6年4月23日午後8時20分頃...

2005年10月27日
選択の視点【No.56、57】

今回は、高齢者の転倒事故で、医院や社会福祉法人の過失責任が認められた判決を2件ご紹介します。 高齢者の転倒は、重大な結果につながりやすいことが、両判決の事案・裁判所の認容額からも伺われます。 No.56の判決で用いられている用語のうち、「無名契約」と「損益相殺」は、見慣れない用語と思われますので、簡...

2005年10月27日
No.57「デイサービスを受けていた高齢女性が施設のトイレ内で転倒。社会福祉法人に損害賠償義務を認める判決」

横浜地方裁判所 平成17年3月22日判決(判例時報1895号91頁) (争点) 施設側に通所介護契約上の安全配慮義務があるか 損害 (事案) 本件施設はY市の地域ケアプラザの一つであって、社会福祉法人であるY協会がY市から委託を受けて運営管理する施設である。 A(事故当時85歳の女性)は、平成12年...

2005年10月27日
No.56「医院でデイケアを受けていた高齢男性が送迎バスを降りた直後に転倒・骨折し、その後肺炎で死亡。医院を設置運営する医師に損害賠償義務を認める判決」

東京地方裁判所 平成15年3月20日判決(判例時報1840号20頁) (争点) 医院側に安全確保義務があるか 医院側に安全確保義務違反があったか 義務違反と死亡との因果関係 損害 (事案) 平成11年12月10日、患者A(当時78歳の男性。痴呆の症状が進んでいたが、自立歩行が可能)は、Y医師が設置運...

2005年9月26日
選択の視点【No.54、55】

今回は、「事後説明」が争点になった判決を2件ご紹介します。 病院・医師と患者との間の診療契約は、民法656条の準委任契約に該当すると解されています。準委任契約とは、「法律行為ではない事務の委託」についての契約で、委任についての規定が準用されます。 そして、民法645条は、「受任者は、委任者の請求があ...

2005年9月26日
No.55「歯科治療上のミスについて、医療事故の状況の確認や患者への報告・説明をしなかったことも歯科医師の過失であるとの判決」

山口地方裁判所 平成14年9月18日判決(判例タイムズ1129号235頁) (争点) 医療事故後の歯科医師の行為に過失があるか (事案) 患者Aは、平成12年12月9日、右上6番の歯の歯冠部が食事中に取れ、同時に歯の部分もいくらか欠けたため、その治療のため、同月11日、Y歯科医師が開設するY歯科を受...

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