医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2006年10月18日
No.81「内視鏡を使用した手術において右手総掌側指神経を損傷し複合性局所疼痛症候群(CRPS)タイプIIを発症させた場合に、医師に手技上の過失などがあったとして、病院の損害賠償責任が認められた判決」

さいたま地方裁判所川越支部 平成16年8月26日判決(判例時報1888号109頁) (争点) 医師に、説明義務違反があるか 医師に、本件手術における手技上の過失があるか 医師に、本件手術後、CRPSタイプIIの発症を看過し、適切な治療を行わなかった過失があるか 損害 (事案) X(昭和31年生まれの...

2006年10月18日
No.80「生後約9ヶ月の男児に対する内視鏡手術の際、灌流液が体内に漏れ、急性腎不全から重度の後遺障害に。国立病院医師の過失を認め、国及び医師らに損害賠償責任を認めた判決」

神戸地方裁判所 平成10年3月23日判決(判例時報1676号89頁) (争点) 手術を執刀した医師に、手術に際して灌流液の溢流を監視すべき注意義務を怠った過失が認められるか 麻酔医であった研修医に、手術に際して灌流液の溢流を監視すべき注意義務を怠った過失が認められるか 医師らの過失と後遺障害との間に...

2006年9月12日
選択の視点【No.78、79】

今回は、退院後の患者の容態悪化について、退院時の医師の説明が不十分であったとして過失が認定された判決を2件ご紹介します。いずれも、原審と上訴審とで判断が異なり、医師側が逆転敗訴した事案です。 医師の患者に対する説明は 1患者の有効な承諾を得るための説明  2療養方法の指示・指導としての説明  3転医...

2006年9月12日
No.79「国立病院で手術・退院後に薬剤の副作用で患者が死亡。退院時の情報提供義務違反を認め、国が逆転敗訴の高裁判決」

高松高等裁判所平成8年2月27日判決(判例時報1591号44頁) (争点) 医師に、副作用のある薬剤を投与する場合の注意義務違反があったか否か (事案) 患者H(女性)は、昭和63年9月26日、国立病院であるY医大病院脳神経外科を受診し、その後の検査から右前頭部に髄膜腫が認められたことにより、摘出手...

2006年9月12日
No.78「新生児が退院後核黄疸に罹患し後遺症。医師の過失を否定した高裁判決を最高裁判所が破棄。産婦人科医に退院時の説明・指導義務違反を認める」

最高裁判所平成7年5月30日第三小法廷判決(判例時報1533号78頁) (争点) 新生児退院時における産婦人科医の注意義務違反の有無 (事案) 昭和48年9月21日に、母親Mは患者X(女児)を未熟児の状態で出産した。 Mは、長男・長女も産婦人科医Yの経営する医院で順次出産したが、この二人のどちらにも...

2006年8月16日
選択の視点【No.76、77】

今回は、市立病院の看護師の過失に関連する判決を2件ご紹介します。 なお、判決文中、「看護婦」と表記されている部分は「看護師」に修正しております。 No.77は看護師による点滴(静脈注射)の事案です。 看護師による静脈注射について、従前は、看護師の業務の範囲を超えるものであるとの行政解釈がありました(...

2006年8月16日
No.77「市立病院看護師の点滴後、泌尿器科受診患者に右橈骨神経不全麻痺が発生。市に損害賠償を命ずる判決」

名古屋地方裁判所平成14年3月15日判決(判例時報1796号133頁) (争点) 本件注射と右橈骨神経不全麻痺との因果関係 市(Y病院)の責任原因(過失) 損害額 (事案) 患者Xは、昭和25年5月23日生まれの男性で、腎結石のため、平成2年末ころから、Y市が開設するY市民病院(以下「Y病院」という...

2006年8月16日
No.76「人工呼吸器のアラームのスイッチを市立病院の看護師が入れ忘れ、入院中の4歳男児が呼吸不全で死亡。市に損害賠償請求を命ずる判決」

神戸地方裁判所平成5年12月24日判決(判例時報1521号104頁) (争点) 本件事故で患者Aが死亡したことによる慰謝料額はいくらか (事案) 患者A(死亡当時4歳の男児)は、昭和63年6月14日に出生したが、生後8か月頃になってアイセル病(ムコリピドーシスII型)という先天性代謝異常の障害がある...

2006年7月21日
選択の視点【No.74、75】

今回は、眼科に関連する判決を2件ご紹介します。 No.74の判決では、大学病院における眼科と内科との間で、診療依頼状や返信を患者に持参させて他科を受診させるという方法で検査結果の伝達を行っており、眼科の診断結果が内科医師に伝わるまでに3ヶ月近く経過したことにつき、眼科と内科双方の医師の義務違反が指摘...

2006年7月21日
No.75「コンタクトレンズの購入・使用後、左眼に角膜混濁・矯正視力低下の後遺障害。販売、処方に関し、販売会社や眼科医師の過失が認められた判決」

大阪地方裁判所堺支部平成14年7月10日判決(判例タイムズ1145号177頁) (争点) コンタクトレンズの販売、処方に際して、医師や販売会社に告知、説明義務違反があったか 医師に治療義務違反があったか (事案) 患者K(当時22歳の女性)は、平成11年4月8日、A株式会社が経営するコンタクトレンズ...

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