医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2007年1月10日
選択の視点【No.86、87】

今回は、歯科医師の損害賠償責任が認められた判決を2件ご紹介いたします。 歯科医療には、一般医療と比べて、「治療に用いられる材料・材質に選択の余地がある」「保険診療の対象外の治療(自費診療)が多い」「容貌に及ぼす影響が大きい」「復元が困難・不可能な治療が多い」「緊急性に乏しい場合もある」といった特色が...

2007年1月10日
No.87「歯周病治療で歯科医師が患者の24歯全部を大幅に削合。医師の損害賠償責任を認めた判決」

山口地方裁判所平成17年12月22日判決(判例タイムズ1223号240頁) (争点) 説明義務違反の有無 治療の一環として、患者の24歯全部を大幅に削合したことが、不法行為に該当するか (事案) 患者X(昭和24年生まれの女性でブティック経営者)は、Y歯科医師が開設するY歯科医院を平成14年3月1日...

2007年1月10日
No.86「歯科医師のブリッジ(架工義歯)の支台築造に過失が認められた判決」

平成4年5月29日京都地方裁判所判決(判例時報1479号64頁) (争点) ブリッジ補綴治療についての歯科医師の債務不履行の有無 (事案) 患者X(昭和27年生まれの主婦)は、F歯科医院で昭和47年に受けた被冠型ブリッジ(架工義歯)の前装歯2本が変色したため、昭和58年になってY歯科医師の経営するY...

2006年12月18日
選択の視点【No.84、85】

今回は、薬剤投与によって患者がショック状態になった事案に関する判決を2件ご紹介します。 どちらの判決も、医師が患者のアレルギー体質を認識、あるいは認識しえた点を重視しているといえます。 No.84の判決は、腰痛等の治療のため、ビタノイリン、ノイロトロピンを投与したところ、患者がショック状態になり心臓...

2006年12月18日
No.85「インフルエンザの症状を訴えて医師の診察を受けた患者に対し、静脈注射をしたところ、患者がショック状態となって死亡。医師の過失を認め損害賠償責任を認めた判決」

大阪地方裁判所 平成14年1月16日判決(判例時報1797号94頁) (争点) 患者に対し本件注射をしたことについて、医師に過失があるか 医師が、本件ショック症状発見後、患者に対して施した処置について、医師に過失があるといえるか、適切な処置を施していた場合、患者の死は避けられたか 損害額 (事案) ...

2006年12月18日
No.84「腰痛捻挫等の症状のある患者に対し治療のため投薬がなされたところ、ショックを起こして心臓停止に至り、右股関節運動障害の後遺症を負う。投薬をした医師に損害賠償責任を認めた判決」

大阪地方裁判所 平成8年1月29日判決(判例タイムズ910号180頁) (争点) 医師に注意義務違反があるか 後遺障害と医師の注意義務違反との因果関係 損害 (事案) X(昭和18年生まれの男性・A鉄工株式会社の工場長取締役)は平成4年2月27日、会社工場での作業中、腰部を捻り、腰痛による歩行困難に...

2006年11月16日
選択の視点【No.82、83】

今回はチーム医療において医療過誤が生じた場合に、複数の医療関係者の中の誰がどのように刑事責任を負うかが問題となった事案を2件ご紹介します。 両方の判決とも、チーム医療における医師の立場、役割についてのものです。 No.82の判決は、動脈管開存症患者(当時2歳半)の動脈管を大動脈との分岐点で切断する手...

2006年11月16日
No.83「主治医が抗がん剤を過剰投与し患者が死亡。私立大学附属病院の耳鼻咽喉科科長兼教授にも業務上過失致死罪の成立を認めた最高裁判決」

最高裁判所第一小法廷 平成17年11月15日決定(判例時報1916号154頁) (争点) 耳鼻咽喉科科長であり、患者に対する治療方針等の最終的な決定権者であるA医師に、主治医Bの治療計画の適否を具体的に検討し、誤りがあれば直ちにこれを是正すべき注意義務に違反する過失があるか 抗がん剤の使用により、患...

2006年11月16日
No.82「看護師による電気メス器ケーブルの誤接続による熱傷から患者の右下腿部切断。執刀医師の刑事責任を否定した高裁判決」

札幌高等裁判所 昭和51年3月18日判決(判例時報820号36頁) (争点) A医師のケーブル誤接続の可能性に対する認識ないしは認識の可能性の有無 A医師のケーブル誤接続による傷害事故発生に対する予見可能性の程度 手術開始直前のケーブル接続について、執刀医であるA医師の介助看護師に対する信頼の当否 ...

2006年10月18日
選択の視点【No.80、81】

今回は、内視鏡手術に関する判決を2件ご紹介します。 NO.80の判決は、重い後遺症を負った乳児だけでなく、その両親についても精神的損害の賠償、いわゆる慰謝料の請求を認めています。 民法第711条は「他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合におい...

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