医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2007年8月 9日
No.101「低酸素状態が続いていた胎児について、急速遂娩実施の遅れにより、重度脳障害の後遺症。医師の責任を認める判決」

平成15年7月9日富山地方裁判所判決(判例時報1850号103頁) (争点) 女児の重度脳障害の原因 Y医師の注意義務違反の有無 (事案) X2(母)は、産婦人科医であるYが開設経営していたクリニック(以下Yクリニックという)を平成6年8月8日受診し、妊娠5週間、分娩予定日が平成7年4月12日と診断...

2007年8月 9日
No.100「帝王切開出産時の低酸素症により、新生児が重症脳性麻痺に罹患し、その後11歳で死亡。産婦人科医師の過失責任を認める判決」

鹿児島地方裁判所平成15年1月20日判決(判例タイムズ1164号257頁) (争点) 産婦人科医師の注意義務違反 因果関係 損害 (事案) 患者Aの父親がX1、母親がX2である。X2は、平成3年3月30日の初診以来、約1ヶ月おきにY医師が開設するY産婦人科(Y医院)において妊娠経過の診察を受けていた...

2007年7月13日
選択の視点【No.98、99】

今回は、定期金賠償が認められた判決を2件ご紹介します。 損害賠償は、将来の損害も含めて一括払いが一般的です。これに対して定期金賠償とは、例えば「生存する限り1ヶ月ごとに30万円支払え」というように、定期的な金銭支払による賠償方法です。総額が決まっておらず、支払期ごとに発生するという点で、総額が決まっ...

2007年7月13日
No.99「急性喉頭蓋炎の患者が低酸素脳症から重度後遺症。最初に診療した個人経営の病院及び転送先の県立病院に対して、定期金賠償を含む損害賠償の支払いを命じた判決」

平成16年1月21日大阪地裁判決(判例時報1907号85頁) (争点) 最初に入院したY1病院の当直医であるK医師に経過観察義務違反があったか 転送先の医大病院のN医師による緊急気道確保のための手技に過失があったか 損害 (事案) X(当時32歳の男性)は、平成11年8月13日午後6時30分ころ、身...

2007年7月13日
No.98「女児患者が麻酔薬の過剰投与で重篤な後遺障害。病院側に将来の自宅介護の費用についてのいわゆる定期金賠償を命じる判決」

東京地方裁判所平成8年12月10日判決(判例時報1589号81頁) (争点) 患者X1及び両親に生じた損害の額 (事案) 患者X1(平成3年4月生まれの女児)は、平成5年2月4日午後8時ころ、引きつけを起こし40度の熱が出たため、最寄りのT病院を受診し、解熱剤を処方されて帰宅した。翌2月5日朝、X1...

2007年6月 5日
選択の視点【No.96、97】

今回は、入院中の患者のケアに関する判決を2件ご紹介します。 No.96の判決は、病院側の過失を認め、患者が最重症のウイルス性脳炎に罹患していたことから、過失がなくても最終的な救命は困難であったとして、死亡と過失の因果関係は認めませんでした。しかし、適切な治療を受ける期待及び延命利益の喪失が、患者自身...

2007年6月 5日
No.97「入院中の患者に床ずれ(褥瘡)が発症し、その後腎不全で死亡。病院側に損害賠償を命じる判決」

東京地方裁判所平成9年4月28日判決(判例時報1628号49頁) (争点) YがAに対し褥瘡の予防と治療について必要とされる医療処置を講じたかどうか Aの死亡と褥瘡との因果関係の有無 損害額 (事案) 患者A(昭和7年生まれの男性)は、平成4年1月5日日午前1時頃外出先で倒れ、救急車でI病院に搬送さ...

2007年6月 5日
No.96「市立病院の入院患者の気管に挿入したカニョーレが移動し、患者が死亡。市に損害賠償を命じる判決」

神戸地方裁判所平成8年3月11日判決(判例タイムズ915号232頁) (争点) 患者Aの死亡原因 カニョーレ装着後の管理上の過失の有無 損害 (事案) 患者A(昭和38年生まれの男性)は、平成2年11月30日、ウイルス性脳炎の疑いでY市立Y市民病院(以下Y病院という)に入院した。同病院内科医師T医師...

2007年5月18日
選択の視点【No.94、95】

今回は、市立病院での診療拒否に関する判決を2件ご紹介します。 なお、No.94の判決は、一審判決後、控訴審で和解が成立したとのことです。 医師法19条1項は、「診療に従事する医師は、診察治療の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」と規定しています。医師の応招義務を規定し...

2007年5月18日
No.95「市立病院が腰椎骨折患者につき、HIV感染者であることから手術的治療を回避。医学的根拠のない差別的取扱による慰謝料の支払いを市に命じる判決」

甲府地方裁判所平成17年7月26日判決(判例タイムズ1216号217頁) (争点) 腰椎骨折に対して手術的治療を実施しなかったという不作為と後遺障害との間に因果関係があるか 前記1の因果関係が認められない場合に、患者Aの適切な治療を受ける期待権が侵害されたか (事案) 患者Aは、1970年(昭和45...

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