医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2007年11月 8日
選択の視点【No.106、107】

今回は、専門科目外の医療に関する過誤について、医師側の責任を認めた判決を2件ご紹介します。 No.106の判決紹介にあたっては、一審の判決も参考にしました。 No.106では、開業医の注意義務違反による転院先での手術の遅れがなければ、患者に後遺症が生じなかったとまでは言えないが、より早期に手術を受け...

2007年11月 8日
No.107「県立の循環器呼吸器専門病院医師が、患者のC型肝炎ウイルス感染を見落とす。転院先で患者が死亡。県の債務不履行責任を認める判決」

横浜地方裁判所平成17年9月14日判決(判例時報1927号79頁) (争点) Yセンター医師らは、患者AをC型肝炎の治療に適した医療機関に転医させるべき診療契約上の義務を怠ったか 上記1の債務不履行と患者Aの死亡との間に相当因果関係はあるか (事案) 患者A(昭和16年生まれの男性)は、肺ガンが疑い...

2007年11月 8日
No.106「生後6ヶ月の男児が開業医から転院先の脳外科で開頭手術を受けたが、硬膜外血腫による後遺症が残存。開業医に転送の際の注意義務違反を認め、患者側が逆転勝訴した高裁判決」

大阪高等裁判所平成8年9月10日判決 判例タイムズ937号220頁 (争点) 専門領域外の他院に転送する際に、開業医であるY医師に注意義務違反があったか否か Y医師の過失と相当因果関係のある損害の項目 (事案) 患者Xは当時生後6ヶ月の男児で、Y医師は内科、小児科、放射線科を標榜科目とするY医院を経...

2007年10月12日
選択の視点【No.104、105】

今回は、損害賠償の額に関して、特殊事情を考慮して減額が認められた判決を2件ご紹介します。 No.104の判決に出てくる、「医療保護入院」とは精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健法)第33条に定められている精神障害者の入院形式です。精神障害者で、自傷他害のおそれはないが、医療及び保護のため...

2007年10月12日
No.105「高圧浣腸のミスから人工肛門設置。閉鎖の可能性はあるが、閉鎖手術の選択は酷であるとして、後遺障害を認定。閉鎖手術を選択しなかったことは治癒可能性の機会の放棄として損害賠償額を減額した判決」

高松高等裁判所平成19年1月18日判決 判例時報1964号90頁 (争点) 症状固定の有無 損害及びその額 (事案) 患者X(平成17年当時63歳の女性)は平成14年2月6日、Y医療法人が開設するY病院にて大腸検査のため高圧浣腸を受けたところ、看護師の手技上のミスにより直腸後壁が穿孔され、医原性大腸...

2007年10月12日
No.104「都立病院に医療保護入院中の患者が、鎮静剤投与で容態急変。蘇生後脳症により重度の後遺障害。病院側の過失を認め、損害賠償額の算定にあたっては、医療事故前の患者の症状などを考慮して逸失利益を減額した判決」

東京高等裁判所平成13年9月26日判決 判例タイムズ1138号235頁 (争点) 本件医療事故の原因 T医師の過失 損害 (事案) 患者X(昭和39年9月生まれの男性)は、平成7年2月11日深夜、自宅において、 暴言を浴びせ、物を投げつけるなどし、不穏、興奮状態が続いたため、Xの母の110番通報によ...

2007年9月10日
選択の視点【No.102、103】

今回は、術後管理について、医師の責任が認められた判決を2件紹介します。 No.102の判決では、手術中のくも膜の破損や、ラトケ嚢胞を全部摘出したこと自体の過失についても原告側は主張していましたが、裁判所はこれらの過失は否定し、ただし、合併症の危険の高い手術方法を選択したのであるから、通常以上に十分な...

2007年9月10日
No.103「冠状動脈バイパス手術を受けた患者が、術後に腸管壊死になり、死亡。医師の過失を認め、高裁判決を破棄した最高裁判所判決」

最高裁判所平成18年4月18日判決(判例タイムズ1210号67頁) (争点) 医師の過失の有無 (事案) 患者Aは、故B院長の開設していたC病院において、平成3年2月22日午前11時55分から午後6時30分まで、冠状動脈バイパス手術を受けた。執刀医は、B院長から依頼を受けたE大学教授であり、C病院の...

2007年9月10日
No.102「ラトケ嚢胞の全部摘出手術後、14歳男子が髄膜炎、気脳症の合併症で死亡。国立大学病院の責任を認めた判決」

神戸地裁平成15年6月12日(判例時報1836号105頁) (争点) 術後管理における医師の過失の有無 (事案) 患者A(死亡当時14歳)は、私立大学病院で嚢腫との診断を受け、手術方法として経蝶形骨洞到達法(ハーディ法)の説明を受けた。そして、その手術が可能な国立大学附属病院であるY病院に平成10年...

2007年8月 9日
選択の視点【No.100、101】

今回は、いわゆる胎児仮死に関する判決を2件(No.100、No.101)ご紹介します。 胎児仮死(または安心できない状態)で出生し、低酸素症から重度の後遺障害を負った事案については、いくつもの判例があり、医療訴訟にいたる類型の一つといえます。 両判決とも実務において参考になると思いますので紹介します...

ページの先頭へ