医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2008年6月 4日
No.121「硫酸ストレプトマイシンの筋肉注射により、患者がショック症状が発生し、死亡。医師の損害賠償責任を認めた高裁判決」

東京高等裁判所昭和58年7月20日判決 判例タイムズ512号171頁 (争点) Y医師に投与すべき薬剤の選択を誤った過失があるか Y医師に本件注射前の安全確認を怠った過失があるか (事案) 患者A(死亡時30歳、養父の経営する酒店で勤務していた男性)は、毎年春先に鼻汁が多くなり、くしゃみが出る等の症...

2008年6月 4日
No.120「国立病院で感音難聴者に結核治療のため硫酸ストレプトマイシン投与。患者の聴力喪失につき医師の過失を認めた高裁判決」

大阪高等裁判所昭和63年3月25日判決 判例タイムズ678号144頁 (争点) 医師Yの硫酸ストマイ投与と、患者Xの聴力障害増強との間に因果関係は認められるか 医師Yの硫酸ストマイ投与につき、過失が認められるか 損害額の算定につき、Xに硫酸ストマイ投与以前に聴力障害があったことを考慮し減額すべきか ...

2008年5月14日
選択の視点【No.118、119】

今回は高齢者の誤嚥に関して、病院・施設側の責任が認められた判決を2件ご紹介します。 両判決とも、誤嚥から窒息の後9ヶ月から10ヶ月程度経過してから死亡に至ったという事案です。No.118では、誤嚥と死亡との因果関係は否定され、葬儀費用の損害賠償は認められませんでしたが、No.119では因果関係がある...

2008年5月14日
No.119「県立病院で入院患者がおにぎりを誤嚥して窒息。その後約9ヶ月後に死亡。県と看護師に損害賠償責任を認める判決」

平成19年6月26日 福岡地裁判決(判例時報1988号56頁) (争点) 担当看護師の過失の有無 誤嚥の予見可能性の有無 おにぎり提供についての過失の有無 義歯を装着しなかったことについての過失の有無 見守りについての過失の有無 (事案) A(大正12年11月14日生まれの男性)は、老人性痴呆、前立...

2008年5月14日
No.118「特別養護老人ホームで入所者がかまぼこ片を誤嚥して窒息。約10ヶ月後に老衰で死亡。老人ホームを運営する社会福祉法人の損害賠償責任を認めた判決」

東京地方裁判所平成19年5月28日判決(判例時報1991号81頁) (争点) 入所者Aの容態急変は誤嚥によるものか 特別養護老人ホームを設置運営する社会福祉法人に、入所者の誤嚥監視義務などの違反があったか 損害額 (事案) A(明治37年5月4日生まれ・女性・死亡当時98歳)は、平成7年4月ころ、社...

2008年4月 4日
選択の視点【No.116、117】

今回は、腎臓移植に関する判決を2件紹介いたします。1件は死亡後の腎臓移植で、もう1件は生体腎移植です。 No.116は臓器移植法施行前の判決です。臓器移植法施行により、一定の要件を充たせば脳死体からの臓器摘出が可能となりました。しかし、脳死体からの摘出の要件を充たしていない場合には、本判決と同様の問...

2008年4月 4日
No.117「大学病院で父親が子に生体腎移植をしたが、治療上の過失により移植が失敗し子が死亡。親としての慰謝料請求は認めるが、ドナーとしての慰謝料請求は否定した高裁判決」

東京高等裁判所平成13年2月6日判決 判例タイムズ1109号198頁 (争点) 患者本人以外の者による診療契約締結の可否 患者の親として子に臓器を提供した場合、治療上の過失により子が死亡したとき、当該親はドナーとしての慰謝料請求ができるか (事案) A(死亡時23歳・寿司職人としてパート勤務をしてい...

2008年4月 4日
No.116「大学病院で心停止間近の患者に対し、腎臓移植の準備のために大腿部を切開してカテーテルを挿入。患者本人の確定的な承認がない以上違法として、損害賠償請求を認めた判決」

大阪地方裁判所平成10年5月20日判決 判例タイムズ990号97頁 (争点) 心停止間近の患者に、腎臓移植に備えて心停止後の腎臓の悪化を防ぐために大腿部を切開して灌流液注入用のカテーテルを挿入する医師の行為は、当該行為に確定的な承認をしていない患者に対する不法行為となるか (事案) 平成5年10月2...

2008年3月18日
選択の視点【No.114、115】

今回は腎不全に関連して、病院側の損害賠償責任が認められた判決を2件ご紹介します。 No.114の判決は、一審判決後、控訴がなされ控訴審で和解が成立しています。 なお、この事件では、血液B検査の検査結果がいつ出たかについて、病院側は26日中には出ていないと主張しましたが、裁判所は、検査報告書の報告の日...

2008年3月18日
No.115「慢性腎不全の末期患者に対して、県立病院が精神的疾患を理由に長期血液透析を実施せず、患者は死亡。県と医師に患者遺族に対する慰謝料と弁護士費用の支払を命じた高裁判決」

福岡高等裁判所宮崎支部平成9年9月19日判決 判例タイムズ974号174頁 (争点) 患者に長期血液透析の適応があったか 医師が患者に長期血液透析を実施しなかったことに過失が認められるか 損害 (事案) 患者A(昭和23年生まれ、死亡当時42歳の女性)は、平成2年6月ころより、精神障害、糖尿病、尿路...

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