医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2008年12月18日
選択の視点【No.132、133】

今回は、薬剤投与後の経過観察・監視義務に関連して病院側の損害賠償責任が認められた判決を2件ご紹介いたします。 No.132の判決紹介にあたっては、一審判決(前橋地方裁判所平成11年2月3日判決・判例時報1698号114頁)も参照しました。また、病名や医療従事者の職業名につきましては、現在の用語に改め...

2008年12月18日
No.133「陣痛促進剤の副作用により胎児が低酸素状態になり出生後に死亡。陣痛促進剤投与後の分娩監視を怠ったとして病院側に損害賠償義務を認めた判決」

神戸地方裁判所尼崎支部平成15年9月30日 判例タイムズ1144号142頁 (争点) 胎児仮死の原因 医師らに陣痛促進剤投与後の分娩監視義務違反が認められるか (事案) 患者X(当時29歳の初妊婦)は平成12年5月25日、妊娠37週6日目で前期破水のため、16時15分ころ、Y町村共同国保Y病院経営事...

2008年12月18日
No.132「統合失調症の患者に対して鎮静剤を投与後、患者が鎮静剤の呼吸抑制作用により舌根沈下を生じ、窒息死。病院の責任を否定した地裁判決を変更して、病院側の経過観察義務違反を認めた高裁判決」

東京高等裁判所平成13年9月12日 判例時報1771号91頁 (争点) 患者Aの死因 薬剤投与上の注意義務の有無 鎮静剤投与後の経過観察義務違反の有無 (事案) 患者A(死亡当時42歳の男性)は、家業である酒類等販売業に従事し、主として配達等をしていたが昭和49年ころから統合失調症に罹患し、医療法人...

2008年11月12日
選択の視点【No.130、131】

今回は、最高裁判所で控訴審判決が破棄され、差し戻された事案を2件ご紹介します。 No.130の判決については、差し戻し後の控訴審で、控訴棄却の判決(医師の過失を否定する判決)が出たようです(仙台高裁平成19年12月21日判決・判例時報1990号183頁に掲載された判例評釈より)。 No.131の判決...

2008年11月12日
No.131「チーム医療として手術が行われる場合にその総責任者である医師が,自ら患者やその家族に対して自らの手術について説明しなくとも,説明義務違反の不法行為責任を負わない場合があるとした最高裁判決」

最高裁判所第一小法廷平成20年4月24日 判例時報2008号86頁 (争点) チーム医療の総責任者である医師に手術についての説明義務違反があるか (事案) 患者A(当時67歳の男性)は平成11年1月、近隣の病院で受けた心臓カテーテル検査の結果、大動脈弁狭窄及び大動脈弁閉鎖不全により大動脈弁置換手術が...

2008年11月12日
No.130「精神病院に入院中の患者が吐物の誤嚥による窒息で死亡。医師の過失を認定した高裁の判断に経験則違反があるとして控訴審判決を破棄し,更に審理尽くすために差し戻した最高裁判決」

最高裁判所第三小法廷平成19年4月3日 判例時報1240号176頁 (争点) 控訴審の認定した医師の転送義務違反・気道確保義務違反の判断が経験則に違反するか (事案) 患者A(昭和41年生まれの男性)は、昭和58年ころから異常行動が見られるようになり、同年11月、統合失調症と診断されてYの開設する精...

2008年10月15日
選択の視点【No.128、129】

今回は、入院中の感染について、病院側の損害賠償責任が認められた判決を2件ご紹介します。 No.128の判決は、もともと予後の厳しいことが予想された癌患者が、感染症の結果、入院が継続し、家族とのコミュニケーションも十分にとれなくなったため、人生最期の時期を平穏に送ることができなくなったことと、若干にせ...

2008年10月15日
No.129「国立病院で出生した新生児が、MRSAに感染し後遺障害を負う。感染を予見し適切な治療を行う義務を怠ったとして病院側に損害賠償を命じた判決」

神戸地方裁判所平成19年6月1日 判例時報1998号77頁 (争点) 患者がMRSAに感染したことに関して病院のMRSA感染予防対策に過失が認められるか 病院のMRSA感染治療に過失が認められるか (事案) 患者Xは、平成5年7月に国の開設していた国立Y病院(現在は独立行政法人国立病院機構Y医療セン...

2008年10月15日
No.128「大腸癌切除手術後、患者がカテーテル感染症になり、約7ヶ月後死亡。患者の死期が早まり平穏の日常生活に復帰できなかったことなどにつき、1200万円の慰謝料を含む損害賠償が認められた判決」

東京地方裁判所平成18年11月22日 判例時報1986号75頁 (争点) IVHカテーテルを早期に抜去すべき義務の有無 病院の担当医師の義務違反と死亡結果との因果関係 損害額 (事案) 患者A(昭和5年生まれのギャラリーを経営する女性)は、平成13年4月24日、同月8日より足元がふらつき、頭痛がある...

2008年9月 5日
選択の視点【No.126、127】

今回は、術後管理が問題となり、病院側の損害賠償義務が認められた判決を2件ご紹介します。) No.126の事案では、患者遺族が受給した遺族(厚生)年金について、「年金の受給者が不法行為によって死亡した場合、その相続人が被害者の死亡を原因として遺族年金の受給権を取得したときは、支給を受けることが確定した...

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