医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2010年9月15日
選択の視点【No.174、175】

今月は、絞扼性イレウスによる死亡事案について、病院側の責任が認められた判決を2件ご紹介いたします。 No.174の判決紹介にあたっては、一審判決(金沢地裁平成18年9月4日判決・判例時報1980号128頁)も参考にしました。なお、この事案では、医師の過失について一審判決は「10月1日午後0時までに、...

2010年9月15日
No.175「小学生が絞扼性イレウスにより死亡。経過観察中にイレウスの症状が見られたにもかかわらず、所要の検査を行わなかったことにつき、医師に過失を認めて病院に損害賠償義務を認めた判決」

横浜地方裁判所平成21年10月14日 判例時報2069号98頁 (争点) 医師に患者のイレウスを疑い所要の検査を行う注意義務違反があったか 医師が検査義務を果たしていれば、患者の救命の高度な蓋然性があったといえるか (事案) 患者A(平成9年生まれの男子)は平成18年2月20日午前3時45分ころ、心...

2010年9月15日
No.174「単純性イレウスと診断され治療を受けていた入院患者が絞扼性イレウスによる多臓器不全により死亡。担当医師には絞扼性イレウスの発症を疑うべき根拠があった段階で直ちに開腹手術を決定し、その実施に着手すべき義務があったのにこれを怠ったとして、遺族の損害賠償請求を認めた高裁判決」

名古屋高裁平成19年10月17日判決 判例タイムズ1278号264頁 (争点) 医師に過失はあったか 治療によって患者の死亡を回避できたか 損害(入院雑費) (事案) 患者A(死亡当時19歳の男子大学生、以下、A)は、平成8年以降過去3回、Y1市が開設・運営しているY病院小児科において、胃腸炎及び腸...

2010年8月 4日
選択の視点【No.172、173】

今月は、高齢患者に対する手術における麻酔投与に関して、病院側の責任が認められた事案を2件ご紹介します。 No.172では、執刀医は麻酔高を確認したと供述しましたが、判決では「具体的に、いつ、どのような方法でそれを確認したかは説明がない」「これは、同医師の主たる関心が本件手術の対象部位に十分な麻酔が効...

2010年8月 4日
No.173「前立肥大のレーザー手術中、医師の頸椎麻酔薬注入後、患者が呼吸停止、心肺停止に陥り、その後死亡。医師の責任を認めた判決」

札幌地方裁判所平成19年9月26日 判例時報2005号54頁 (争点) 医師に本件麻酔薬注入後、坐位による安静を維持して麻酔高の上昇を避けるべき注意義務違反があるか 医師に本件麻酔施行中に患者の全身状態を監視すべき注意義務違反があるか 医師の過失と患者の死亡との間の相当因果関係の有無 (事案) 患者...

2010年8月 4日
No.172「小柄な高齢患者への大腿骨頸部骨折手術後、急性循環不全で死亡。患者遺族の請求を棄却した一審判決を変更し、病院側に慰謝料の支払いを命じた高裁判決」

福岡高裁平成19年5月29日判決 判例タイムズ1265号284頁 (争点) 手術の際の患者の状況及び急性循環不全に至った原因 手術管理に係る医師の注意義務違反の有無 損害 (事案) A(当時82歳で身長146cm、体重42.5kg)は、平成2年6月に脳卒中に罹患して半身不随となり、以後寝たきりの状態...

2010年7月 1日
選択の視点【No.170、171】

今回はいわゆる「ガイドライン」に照らして医師の行為の過失の有無が判断され、その結果、病院側の責任が認められた事案を2件ご紹介します。 No.170の事案では、一審判決も参照しました。 No.171の事案では、判決は作成主体、作成目的などにも言及しています。 両事案とも、患者は高齢(それぞれ事故当時7...

2010年7月 1日
No.171 「後縦靱帯骨化症除去前方除圧術により患者に重篤な後遺障害が発生。手術の除圧幅について、ガイドラインの内容に照らして不適切であると判断し、市立病院の医師の過失を認めて市に損害賠償を命じた地裁判決」

大阪地方裁判所平成21年11月25日 判例タイムズ1320号198頁 (争点) 本件手術の術式選択及び除圧幅について医師に注意義務違反が認められるか (事案) 患者A(昭和2年生まれの男性)は、手がしびれ、握力が低下し、歩行時に右足を引きずるなどの不自由があったことから、平成12年2月15日、Y市が...

2010年7月 1日
No.170 「慢性肺血栓塞栓症の診断・治療により病状が軽快し、転医した患者が、転医先の病院で急性増悪期と診断されて血栓溶解療法を受けたところ、患者が脳内出血で死亡。転医先の病院の診断及び療法に過失を認め、遺族の損害賠償請求を認容した高裁判決」

福岡高裁平成20年6月10日判決 判例時報2023号62頁 (争点) 患者は慢性肺血栓塞栓症の急性増悪期にあったか 血栓溶解療法の適応はあったか 損害(患者に逸失利益はあるか) (事案) 患者A(昭和2年生まれの女性)は、平成7年11月、労作時に呼吸困難を自覚し、B病院において閉塞性肺疾患を原因とし...

2010年6月 7日
選択の視点【No.168、169】

今回は乳幼児医療に関する事案を2件ご紹介します。1件は病院側の責任が認められ、もう1件は否定されました。 病院側の責任を認めたNo.168の事案では、病院側はPVL(脳室周囲白質軟化症)の告知は、しばしば児童虐待に結びつく悲観的な告知であるとの主張もしたようですが、裁判所は、子の成育上の問題は、児童...

ページの先頭へ