医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2012年5月16日
No.214「持続硬膜外ブロック療法を受けた入院患者がMRSAに感染。使い捨て用の器具を繰り返し使用した医師・看護師らの感染防止義務違反を認定した地裁判決」

大阪地方裁判所堺支部平成13年12月19日 判例タイムズ1189号298頁 (争点) MRSAの感染経路および感染原因 Y1病院の責任の有無(感染防止義務違反) (事案) X(昭和30年5月21日生の男性)は、平成5年1月18日交通事故に遭い、Y1医療法人の運営するY1病院(以下Y病院)を受診したと...

2012年4月 6日
選択の視点【No.212、213】

今月は歯科医師の過失が争点になった判決を2件ご紹介します。 No.212の事案では、亡くなった歯科医師が歯科医師賠償責任保険契約を締結していた損害保険会社が補助参加人として訴訟に参加しています。 そして、損害保険会社は、患者が抜歯から他院受診までに期間があることなどを指摘して、本件抜歯によって下顎骨...

2012年4月 6日
No.213「開業歯科医による差歯の交換後、患者に歯痛。非定型歯痛の概念を知らず、咬合調整を繰り返した開業歯科医の過失を認めた地裁判決」

長野地方裁判所上田支部 平成23年3月4日判決 判例タイムズ1360号179頁 (争点) 咬合調整に関する歯科医師Yの過失 Xに対するYの発言が不法行為にあたるか 因果関係 損害 (事案) X(昭和29年生まれ、女性)は、平成18年12月6日、歯がしみると訴え、歯科医師Yが開業するY歯科医院(以下Y...

2012年4月 6日
No.212「親知らずを抜歯する際に、患者の下顎骨を骨折。歯科医師の過失を認めた地裁判決」

富山地方裁判所平成19年1月19日判決 判例時報1986号118頁 (争点) 抜歯と下顎骨骨折との間の因果関係の有無 歯科医師の過失の有無 (事案) 平成16年10月19日、X(当時53歳・女性・自動車部品製造会社勤務)は、歯痛のため、歯科医師であるY(平成16年11月に死亡、以下亡Y)が経営するY...

2012年3月 2日
選択の視点【No.210、211】

今回は、肺癌で死亡した方が受診していた集団検診・定期健康診断でのレントゲンフィルムの読影担当医師の過失が争点となった判決を2件ご紹介します。 No.210の事案で、裁判所は、本件で問題になっているのは、政策的な意味合いにおける集団検診のあり方ではなく、集団検診におけるレントゲンのフィルムを読影する医...

2012年3月 2日
No.211「社内定期健康診断を受けていた社員が肺癌で死亡。医師のレントゲン読影及び診察につき過失を認めながら、延命利益の喪失による損害賠償請求及び不誠実な医療自体についての損害賠償請求を認めなかった地裁判決を維持した高裁判決」

東京高等裁判所平成10年2月26日判決 判例タイムズ1016号192頁 (争点) 医師らの過失の有無 医師の過失と患者Aの延命利益の喪失との間の相当因果関係の有無 不誠実な医療自体についての損害賠償責任の有無 (事案) Aは、損害保険事業を営むY保険株式会社(Y1社)に昭和51年4月に入社した女性社...

2012年3月 2日
No.210「レントゲン撮影を含む市の集団検診を受けていた女性が肺癌により死亡。レントゲン写真の読影担当医師に過失はないとして、遺族の請求を棄却した地裁判決」

仙台地方裁判所 平成8年12月16日判決 判例タイムズ950号211頁 (争点) 集団検診におけるレントゲン写真読影担当医の過失の有無 (事案) A(女性)の居住するB市は、Y(県民の結核を中心とする胸部疾患等の予防及び治療に関し必要な事業を行い、もって県民保健の向上を図ることを目的とする財団法人)...

2012年2月13日
選択の視点【No.208、209】

今回は、産婦人科医師に新生児出生後の転送義務違反が認められた高裁判決(No.208)と、否定された高裁判決(No、209)をご紹介します。 No.208の高裁判決については上告受理申立がなされた後、和解が成立しています。 No.209の紹介にあたっては、判例タイムズ1353号185頁の解説も参考にし...

2012年2月13日
No.209「開業医が前期破水後入院した妊婦を総合病院に転送したが、転送先病院で生まれた新生児に重度の障害。医師の早期の転送義務違反を否定して患者側の請求を棄却した一審判決を維持し、控訴を棄却した高裁判決」

広島高等裁判所岡山支部 平成22年3月18日判決 判例タイムズ1353号 185頁 (争点) 早期に妊婦を転送すべき注意義務の有無 (事案) Xは前期破水を起こしたため、平成15年3月22日午後零時、Y法人が設置し経営しているY産婦人科医院(以下、Y医院)に入院した。Y医院の医師はY医院の代表者H医...

2012年2月13日
No.208「頭蓋内出血が生じ、新生児に脳性麻痺等の後遺障害。患者側敗訴の一審判決を取り消し、医師に分娩後の転送義務違反を認めた高裁判決」

東京高等裁判所 平成13年5月30日判決 判例タイムズ1095号 225頁 (争点) 胎児に負担とならない方法で胎児の娩出を図るか、妊婦を高次医療機関に転送する義務があったのにこれを怠った過失の有無 患児の出生後、早期に新生児救命救急の施設を備えた病院に転送することを怠った過失の有無 (事案) 患児...

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