医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2013年3月11日
選択の視点【No.234、235】

今回は、仮死状態に陥った新生児につき、分娩時の医師の過失が認められた事案を2件ご紹介します。 No.234の事案で、吸引分娩の開始時期について、病院側は分娩当日の午前7時50分ころから直ちに吸引分娩に取りかかり、5、6回ほど吸引分娩を行い、最後の2回が滑脱したため、午前8時15分ころに鉗子分娩...

2013年3月11日
No.235「新生児が重度の新生児仮死で出生し、重度の脳性麻痺などの後遺症が生じた後、約1年後に死亡。帝王切開を行わなかった医師の過失を認め病院側に賠償を命じた地裁判決」

青森地方裁判所弘前支部 平成14年4月12日判決 判例タイムズ1187号301頁 (争点) Y2医師に帝王切開を行わなかったことについて過失はあったか Y2医師の過失とAの脳性麻痺及び死亡との因果関係の有無   (事案) X1(出産当時21歳・初産)は、平成4年...

2013年3月11日
No.234「新生児が低酸素性脳障害に陥り、約6年後に呼吸不全により死亡。早期に吸引分娩または鉗子分娩を実施しなかった医師の過失を認め病院側に損害賠償を命じた地裁判決」

大阪地方裁判所堺支部 平成11年11月5日判決 判例タイムズ1032号219頁 (争点) Y2医師の分娩監視に過失があるか否か   (事案) 平成3年10月23日、X1(女性・当時27歳)は、Y1医療法人(Y2医師が代表者理事長である)が開設したY産婦人科病院(以下、Y病院と...

2013年2月 1日
選択の視点【No.232、233】

今回は、分娩後に産婦が大量出血に陥り死亡した事案を2件ご紹介します。 No.232の事案では、患者遺族側の請求していた慰謝料よりも、裁判所の認めた慰謝料額は減額されていますが、その理由の一つとして、裁判所は、客観的には病院側の過失が認められるものの、患者を救命するための懸命の治療行為を行ってきたこと...

2013年2月 1日
No.233「羊水塞栓症により、分娩後に産婦が死亡。医師の輸血措置等の遅れと死亡との因果関係は否定したが、産婦の『適切な治療を受ける権利』を侵害したとして、病院側に遺族への慰謝料の支払いを命じた地裁判決」

大阪地裁 平成8年11月20日判決 判例タイムズ947号253頁 (争点) 医師に輸液の実施について過失はあったか 医師に輸血指示の時期について過失はあったか 因果関係の有無 (事案) A(死亡当時38歳の初産婦)は、平成2年2月8日午前5時30分ごろ陣痛が生じたので、午前5時45分ころ、分娩のため...

2013年2月 1日
No.232「分娩後、産婦が弛緩性子宮出血による出血性ショックにより死亡。医師に輸血用血液の手配の遅れの過失があったとして遺族への損害賠償を命じた地裁判決」

前橋地方裁判所平成7年6月20日判決 判例タイムズ884号215頁 (争点) 医師の過失の有無(輸血用血液の手配の遅れ) 輸血の遅れの過失とA死亡との因果関係の有無 (事案) 平成3年6月18日、A(女性・昭和34年生まれの主婦で会社従業員)は、産科・婦人科を専門とする医療法人であるY1が開設し、Y...

2013年1月17日
選択の視点【No.230、231】

今回は、薬剤投与によるショックに関して、病院側の責任が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.230の事案では、病院側は、心臓疾患の素因のある患者の後遺障害は、心筋梗塞を原因とするものであるか、その影響も考えられるから、損害額を確定する場合に考慮されるべきとの主張をしました。しかし、裁判所は、事...

2013年1月17日
No.231「内視鏡検査のため局所麻酔を投与された患者が、挿管直後に心停止の状態となり、死亡。遺族の損害賠償請求を棄却した一審判決を変更して、病院側の不法行為責任を認めた高裁判決」

福岡高等裁判所平成17年12月15日判決 判例タイムズ1239号275頁 (争点) 患者の死因(局所麻酔薬アレルギーによる心不全か、脳幹部脳梗塞か) 局所麻酔薬投与に際して、医師らに注意義務違反があったか 救命措置について、医師らに注意義務違反があったか 相当因果関係の有無 (事案) Y病院は、精神...

2013年1月17日
No.230「大動脈冠動脈バイパス手術の適否を判断するため、肝機能検査を受けた患者がアナフィラキシーショックに陥り無酸素脳症を発症。大学病院担当医師の問診義務違反を認めて学校法人に損害賠償を命じた地裁判決」

横浜地裁 平成15年6月20日判決 判例時報1829号97頁 (争点) 本件ICG検査とAPショックおよび心停止発症との因果関係の有無 医師のAPショック発症の予見可能性の有無 予診・問診義務及び本件ICG検査回避義務違反の有無 (事案) X1(当時60歳の男性・家電製品販売修理を目的とする会社代表...

2012年12月13日
選択の視点【No.228、229】

今回は、検査義務違反や、病理診断後の検査結果を踏まえて再検討すべき義務違反により、病院側の責任が認められた判決を2件ご紹介します。 No.228の事案では、病院側は、検査に遅延があったとしても、それは、患者が主治医の入院勧告を拒否して退院し、その後の外来通院中も入院勧告を拒否し続けていたことにより、...

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