医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2013年7月 5日
選択の視点【No.242、243】

今回は、手術時の麻酔に関して医師の過失が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.242の事案では、手術が成功していたとしても、その後に予想された後遺症及び再発可能性に照らすと、患者の就労可能性は低いとして、死亡した患者の損害賠償の項目としての逸失利益を認めませんでした。事案の紹介にあたって...

2013年7月 5日
No.243「脱水状態の患者にイレウスの手術を実施。患者が脳虚血による大脳皮質障害による意識障害に陥る。道立病院の麻酔科医の過失を認めた地裁判決」

札幌地裁平成14年6月14日判決 判例タイムズ1206号240頁 (争点) X1の全身状態の把握を怠った過失の有無について 麻酔の手技が不適切であったことについて   (事案) 平成3年1月25日、X1(昭和17年9月生まれ・男性)は北海道の開設する病院(以下、...

2013年7月 5日
No.242「患者の仙骨全部の摘出及び骨盤再建手術の際、輸血用血液が血管外に漏出し、患者が頭蓋内出血を起こし死亡。患者遺族の請求を棄却した一審判決を変更して、国立大学病院麻酔担当医の術中の観察義務違反を認めた高裁判決」

広島高裁岡山支部平成10年1月29日判決 判例タイムズ982号239頁 (争点) 麻酔担当医の過失(術中の頸部、頭部の観察義務違反)の有無   (事案) A(死亡当時28歳の女性・主婦)は平成2年11月22日、市民病院において仙骨部骨巨細胞腫で手術が必要であるとの診断を受け、...

2013年6月 5日
選択の視点【No.240、241】

今回は、手術後に患者が死亡した事案で、術後の医師の対応に過失が認められた判決を2件ご紹介します。 No.240の事案のご紹介にあたっては、判例時報の解説も参考にしました。ただし、高裁判決のため、一審判決引用部分の具体的内容が分からず、事案の詳細がご紹介できない部分があります点をご了承下さい。な...

2013年6月 5日
No.241「胃癌の手術後、患者が死亡。医師が消化管穿孔による細菌性腹膜炎の発症に気づかず開腹手術等を行わず、漫然と保存的治療を行った過失があるとされた地裁判決」

東京地裁平成15年3月12日判決 判例タイムズ1185号260頁 (争点) 医師の過失(開腹術を行うことなく漫然と保存的療法を施行した過失)の有無   (事案) 平成5年3月8日、A(当時43歳の女性・主婦)は胃痛・悪心のためY医療法人が開設、経営するY胃腸科外科病院(以下、...

2013年6月 5日
No.240「S状結腸癌切除手術後、患者が死亡。医師らに縫合不全の発見及び再手術の施行が遅れた過失があるとして、一審判決(患者側敗訴)を変更し、病院側に損害賠償を命じた高裁判決」

大阪高裁平成7年9月13日判決 判例時報1568号54頁 (争点) 患者Aの死因 医師の過失(縫合不全の発見及び再手術の施行が遅れた過失)の有無   (事案) 患者A(当時63歳・男性)はY1医療法人の経営する病院(以下、Y病院という)で、S状結腸癌切除手術(第...

2013年5月22日
選択の視点【No.238、239】

今回は、手術後の気道確保につき、医師の過失が認められた判決を2件ご紹介します。 No.238の事案では、術後の患者のパルスオキシメーターによる酸素飽和度の数値(SpO2)等に関してはパルスオキシメーターから、直接印字した形式では保存されておらず、後日作成された3種類の書面が存在しました。裁判所...

2013年5月22日
No.239「口蓋扁桃摘出手術後、患者に重度の脳障害。術後出血に対する止血の際の気道確保につき、意識下挿管ではなく全身麻酔による迅速導入を選択した医師の過失を認め、病院側に賠償を命じた地裁判決」

広島地方裁判所平成23年2月23日判決 判例時報2120号57頁 (争点) 術後出血に対する止血の際の気道確保について、意識下挿管ではなく全身麻酔による迅速導入法を選択したことに関する医師の過失の有無   (事案) X(当時57歳、女性)は、平成19年1月29日、Y独立行政法...

2013年5月22日
No.238「国立病院でのアデノイド切除術及び両側口蓋扁桃切除術終了後の気管内チューブ抜管により生じた上気道閉塞で患者が呼吸困難に陥り死亡。挿管による気道確保を行わなかった麻酔医師に過失があるとした事例

福井地方裁判所 平成16年3月17日判決 判例時報1882号99頁 (争点) 担当医師が気道確保に関する注意義務に反したか否か   (事案) X1及びX2の長男であるA(手術当時5歳1ヶ月)には睡眠中に数秒間呼吸停止を繰り返す症状が見られたため、平成8年12月24日、AはX1...

2013年4月 2日
選択の視点【No.236、237】

今回は、不適切な歯科治療につき歯科医師の責任が認められた判決を2件ご紹介します。 No.236の事案では、緊密な根管充填が施されたか否かが争点となり、歯科医師は、ガッタパーチャポイントと糊剤(FR)を併用し、十分な充填を実施したが、X線写真上、充填剤が不十分なように写っているのは、糊剤が吸収さ...

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