医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2013年10月10日
No.249「看護師が入院患者2名の足の爪を剥離させたとして、傷害罪で起訴。有罪とした一審を破棄し、無罪を言い渡した高裁判決」

福岡高等裁判所 平成22年9月16日判決 判例タイムズ1348号246頁 (争点) Yの行為につき傷害罪が成立するか   (事案) Y看護師(被告人)は医療法人Z病院で看護師として勤務していた。 Y看護師は、「(1)平成19年6月15日午前7時45分ころ、Z同病院において、...

2013年10月10日
No.248「看護師が投与薬剤を取り違えて、患者が死亡。看護師2名に業務上過失致死罪の成立を認めた地裁判決」

東京地方裁判所平成12年12月27日判決 判例時報1771号168頁 (争点) 薬剤の取り違えに関する看護師の注意義務違反の有無および量刑   (事案) 患者A(本件事故当時58歳、女性)は、慢性関節リウマチ治療のため、B都立病院に入院して、左中指滑膜切除手術を受けた。看護師...

2013年9月10日
選択の視点【No.246、247】

今回は、呼吸管理・気道確保に関する病院側の過失が認められた判決を2件ご紹介します。 No.246の事案では、裁判所は、病院医師の過失を認めた理由の中で、患者の容態が急変したことが、医師の予想外のことであり、急性喉頭蓋炎が稀な疾患であって急変を予想できなかったことがある程度やむを得ないとしても、...

2013年9月10日
No.247「患者に装着された気管カニューレに痰が詰まり、低酸素脳症に陥り、遅延性意識障害の後遺症。医師らに痰による気道閉塞及び呼吸困難を防止すべき注意義務があるとした地裁判決」

東京地方裁判所平成18年3月6日判決 判例タイムズ1243号224頁 (争点) 呼吸管理に関する過失の有無 (事案) X(昭和19年生まれの女性・専業主婦)は、平成元年ころ、くも膜下出血を発症し、クリッピング手術を受けた。また平成12年12月頃、交通事故による外傷性脳内出血と骨盤骨折のため、N医...

2013年9月10日
No.246「気道確保がおくれたため、急性喉頭蓋炎の幼児が、低酸素性脳症に罹患し、死亡。市立病院の医師の過失を認めて市に損害賠償を命じた地裁判決」

福島地方裁判所平成17年3月9日判決 判例タイムズ1242号254頁 (争点) 気道確保を遅延した医師の過失の有無   (事案) A(平成9年生、男児)は、平成12年3月27日夜、睡眠中に目を覚まし機嫌が悪く泣きぐずり、同日午後9時40分ころ、ミルクを吐いた。 同日午後10...

2013年8月 9日
選択の視点【No.244、245】

今回は、病院側に損害賠償が命じられた事案で、転医義務が争点の一つとなっている判決を2件ご紹介いたします。 No.244の事案では、ステントの回収作業に6時間余りかかっています。遺族はステント抜去のために転医すべきであったとの主張もしましたが、裁判所は、担当の内科医が、自身の病院の外科医2名の協...

2013年8月 9日
No.245「大学病院のメンタルヘルス科及び眼科で心因性の視力障害として治療を受けていた患者がクリプトコッカス髄膜炎により両眼を失明。大学病院の医師が神経内科に転医させるなどの適切な措置を怠ったため、患者は両眼の失明という重大な後遺症が残らなかったであろう相当程度の可能性を侵害されたことにより精神的苦痛を被ったとして、患者の請求を一部認容し、学校法人及び医師らに慰謝料の支払いを命じた地裁判決」

大阪地方裁判所平成19年11月21日判決 判例タイムズ1265号263頁 (争点) クリプトコッカス髄膜炎を精神疾患と誤診した過失の有無 過失と失明の因果関係及び損害   (事案) X(昭和44年生まれの女性)は、平成16年1月、長女を出産した。Xは、1月22日...

2013年8月 9日
No.244「経皮的血管形成術(PTA)及びステント留置術を受けた急性動脈閉塞症の患者が、術後、急性胃粘膜病変等に罹患し出血性ショックにより死亡。医師にはPTA及びステント留置術を失敗した時点で血管外科のある県立病院等への転医義務違反があったとされた地裁判決」

岐阜地方裁判所 平成18年3月30日判決 判例時報1961号121頁 (争点) PTA及びステント留置術後の転医義務の有無 Y2医師の過失とAの死亡との因果関係   (事案) 患者A(死亡当時62歳の男性・鉄工所でのアルバイトと農業を兼業)は、糖尿病及び高血圧の...

2013年7月 5日
選択の視点【No.242、243】

今回は、手術時の麻酔に関して医師の過失が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.242の事案では、手術が成功していたとしても、その後に予想された後遺症及び再発可能性に照らすと、患者の就労可能性は低いとして、死亡した患者の損害賠償の項目としての逸失利益を認めませんでした。事案の紹介にあたって...

2013年7月 5日
No.243「脱水状態の患者にイレウスの手術を実施。患者が脳虚血による大脳皮質障害による意識障害に陥る。道立病院の麻酔科医の過失を認めた地裁判決」

札幌地裁平成14年6月14日判決 判例タイムズ1206号240頁 (争点) X1の全身状態の把握を怠った過失の有無について 麻酔の手技が不適切であったことについて   (事案) 平成3年1月25日、X1(昭和17年9月生まれ・男性)は北海道の開設する病院(以下、...

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