医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2024年1月10日
選択のポイント【No.494、495】

今回は、術後管理上の過失が認められた判決を2件ご紹介します。 No.494の事案では、病院側は、患者のトイレでの転倒は、患者のつまずきや、滑ったためだと主張しました。しかし、裁判所は、一般に、下血を含む出血があれば、貧血が起こり、貧血の症状として脳細胞への酸素供給が不足することや、これに体動や排便時...

2024年1月10日
No.495「脳内出血の手術を受けた患者が急性呼吸不全により死亡。鼻出血の継続による気道閉塞を予見すべきだったのに、経過観察指示しかしなかった当直医に注意義務違反を認めた地裁判決」

京都地方裁判所令和4年3月9日判決 医療判例解説105(2023年8月)号10頁 (争点) 当直医に注意義務違反があるか否か *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) A(判決中に年齢の明記はないが、70代男性と思われる。)は、平成28年1月4日(以下、特に断りのない限り同年のこととする。)...

2024年1月10日
No.494「虫垂切除術の後、患者がトイレ内で貧血により失神して転倒し、重篤な後遺障害が残った。医師・看護師らに術後管理上の過失があったとして、病院側の責任が認められた地裁判決」

名古屋地方裁判所豊橋支部平成15年3月26日判決 判例タイムズ1188号301頁 (争点) 医師の過失の有無 看護師らの過失の有無 *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) ◇(昭和45年生まれで、転倒事故当時26歳の女性)は、平成8年7月4日(以下、年月を記載していない日付は、平成8年7月...

2023年12月 8日
選択のポイント【No.492、493】

今回は、誤挿入につき、病院側の責任が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.492の事案では、患者側は、本件事故による恐怖や不安によって苦しみ続け、その影響で体調不良が続き、いまだ居酒屋の仕事に復帰できない状況が続いていると主張しましたが、裁判所は、事故の態様や、事故後の病院の対応を考慮すれば、...

2023年12月 8日
No.493「経鼻胃管カテーテルを誤挿入し、先端が胃に届いていないまま栄養剤等が注入され、患者に誤嚥性肺炎が生じて死亡したことにつき、病院の損害賠償責任が認められた地裁判決」

大阪地方裁判所令和3年2月17日 判例時報2506号・2507合併号  53頁 (争点) 医師が患者を誤嚥性肺炎と診断してそれに適した治療をすべき義務に違反したか否か 医師は、チューブが胃内に到達しているか確認すべき義務に違反したか否か *以下、原告3名を◇1~◇3、被告を△と表記する。 (事案) ...

2023年12月 8日
No.492「注腸造影検査の際に、国立病院の看護師により肛門に挿入すべきカテーテルを誤って膣に挿入され、膣にバリウムが注入される。国立病院に慰謝料の支払を命じた地裁判決」

東京地方裁判所平成14年2月20日 第一法規法情報総合データベース (争点) 慰謝料額 *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) 平成11年3月24日、◇(昭和12年生まれの女性・夫とともに飲食店経営)は交通事故により右大腿骨頚部骨折の傷害を負って、Q総合病院に入院し、同月29日、国である△...

2023年11月10日
選択のポイント【No.490、491】

今回は、帝王切開手術の遅れに関して、病院の責任が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.490の事案では、帝王切開の既往のある妊婦に対する陣痛促進剤オキシトシンの投与についても、争点となりました。 そして、裁判所は、過強陣痛による子宮破裂や胎児仮死を招く危険性があることから、分娩を担当する医師は...

2023年11月10日
No.491「出生した女児に重症新生児仮死及び低酸素性虚血性脳症による脳性麻痺・体幹機能障害が発生。胎児機能不全を窺わせるCTG所見にも拘わらず、帝王切開が遅れたとして、病院の責任を認めた高裁判決」

大阪高等裁判所令和3年12月16日判決 判例時報2559号5頁 (争点) 適切な時期に帝王切開の実施を決定しなかった注意義務違反があったか否か *以下、原告及び被控訴人を◇、被告及び控訴人を△と表記する。 (事案) ◇3は、東京都内に在住していたが、里帰り出産を希望して、平成22年(以下、特に断らな...

2023年11月10日
No.490「帝王切開既往歴のある妊婦が分娩中に子宮破裂により死産。医師が夜間不在のため対応できなかったことにつき病院の債務不履行を認めた事案」

東京方裁判所平成2年3月12日判決 判例タイムズ734号210頁 (争点) △に診療義務違反があったか否か *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) ◇1(第一子を経腟分娩ながら5時間もかかる難産、第二子は帝王切開手術により分娩。いずれも他の医院)は、昭和58年5月16日、第三子出産のため、...

2023年10月10日
選択のポイント【No.488、489】

今回は、造設手術に関連して、病院側の責任が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.488の事案では、病院側は、患者のストーマの陥没は、造設手術後、患者の体重が51kgから53kgに増加したことや、患者の老齢化による体型の変化による旨主張しました。しかし、裁判所は、造設手術後に患者の診療を行った大...

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