医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2016年4月10日
No.309「イントラレーシック手術を受けた患者の右眼角膜が損傷。医師にスパーテルを誤った位置へ侵入させた注意義務違反を認め、損害賠償を命じた地裁判決」

東京地方裁判所平成23年10月6日判決 判例タイムズ1409号391頁 (争点) Yの注意義務違反の有無 (事案) X(手術当時35歳の男性・会社役員)は、両眼とも近視性乱視(両眼の裸眼視力がそれぞれ0.3)であったことから、イントラレーシックによる屈折矯正手術に関心を持ち、平成17年7月4日、医師...

2016年4月10日
No.308「大学病院での黄斑上膜手術等の後、患者の視力が低下。担当医の術中の過失を認め、角膜移植手術や再手術の際の個室費用および手術後に生じた頭痛に対する鍼灸等の治療費等も損害として大学側に賠償を命じた地裁判決」

東京地方裁判所平成18年7月28日判決 判例タイムズ1253号222頁 (争点) Y病院担当医師の過失の有無 Xの症状とYの過失との因果関係の有無 Xの損害額 (事案) 平成4年ころから、X(昭和12年生まれの男性・手術当時年商約530億円の株式会社の代表取締役社長)は、左眼の視界のゆがみを感じるよ...

2016年3月10日
選択の視点【No.306、307】

今回は、手術手技に関して医師の過失が認められた判決を2件ご紹介します。 No.306の事案では、脾臓の摘出による労働能力の喪失率につき、裁判所は、脾臓の摘出により、細胞性免疫及び液性免疫のいずれもが低下し、脾摘後敗血症、脾摘後発熱、一過的な血栓塞栓症などの障害が発生しうること、脾臓喪失は、自賠法施行...

2016年3月10日
No.307「胃全摘出術の際の術中所見により、肝臓の切除も行われた胃癌患者が術後急性肝不全により死亡。医師の器具操作及び止血方法の過失を認めた地裁判決」

福岡地方裁判所小倉支部平成14年5月21日判決 判例タイムズ1141号219頁 (争点) 執刀医の器具操作及び止血方法の過失の有無 (事案) 患者A(死亡当時53歳の主婦)は、平成7年1月ころから胸痛や固形物が飲み込みにくいことを自覚していたが、これを放置していたところ、4月になると食事摂取時に空気...

2016年3月10日
No.306「食道アカラシア手術で患者の脾臓が損傷。県立病院の医師に手術手技上の過失を認めた地裁判決」

広島地方裁判所平成12年1月19日判決 判例タイムズ1077号260頁 (争点) 脾臓を損傷した過失の有無 縫合不全を起こした過失の有無 (事案) 患者X(男性・平成4年の手術当時62歳のタクシー運転手)は、昭和31年ころ、食道アカラシア(下部食道噴門部の弛緩不全による食道の通過障害や食道の異常拡張...

2016年2月10日
選択の視点【No.304、305】

今回は皮膚の移植手術に関して、医師の説明義務違反が認められた事案を2件ご紹介します。 No.304の事案では、慰謝料40万円の金額を決めるにあたり、以下の事情が斟酌されました。 手術の結果、患者の鼻が腫れたり、左腰背部が痛んだりしたこと。鼻に違和感が残り、顔に不釣り合いなほど鼻が大きくなったと感じて...

2016年2月10日
No.305「上背部の瘢痕除去のため、国立病院の医師が患者にティッシュ・エキスパンダー法および広背筋皮弁移植を実施。患者に筋力低下の機能障害が残る。担当医師の広背筋皮弁移植手術に関する説明義務違反を認め、国に損害賠償を命じた地裁判決」

東京地方裁判所平成13年12月17日判決 判例タイムズ1102号230頁 (争点) 本件手術のXに対する適応及びY病院の担当医師の説明義務違反の有無 (事案) 患者Xは、昭和50年ころから、右肩甲部、肩、上腕部外側にかけて広範囲の有毛性の褐色母斑(ベッカー母斑)が発生したため、昭和59年6月11日、...

2016年2月10日
No.304「鼻の段差を解消するため、患者の腰背部の真皮を抽出して鼻に挿入移植する美容整形手術を実施。医師の説明義務違反が認められた地裁判決」

広島地方裁判所平成6年3月30日判決 判例タイムズ877号261頁 (争点) Yの説明義務違反の有無について (事案) 患者Xは、鼻の付け根(鼻根部)の骨が少し出っ張って段のようになっているので、これを取ってもらいたいと思い、3ヵ所の病院に電話で費用の問い合わせをしたところ、Y医師の経営する、Y整形...

2016年1月10日
選択の視点【No.302、303】

今回は、手術中に体内に異物が遺留された事案につき、病院側の損害賠償責任が認められた裁判例を2件ご紹介します。 両事案とも、争点は過失の有無ではなく、主として損害額の算定でした。 No.302の事案では、患者(若い女性)は、手術で体内に異物(ドレーンゴム管)が遺留され、肉体的・精神的苦痛を被ったことに...

2016年1月10日
No.303「手術を受けた患者の体内に医療用縫合針が遺残され残存し続けていることにつき、病院側の責任を認め、700万円の慰謝料を含む損害賠償を命じた地裁判決」

さいたま地方裁判所平成26年4月24日判決 判例時報2230号62頁 (争点) 本件針の今後の移動可能性および体内に遺残していることの影響について (争点1を前提とした)損害額について (事案) 平成22年9月29日頃、X(昭和45年生まれの女性)は突発性難聴となり近医を受診したが体調悪化が続き、同...

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