医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2016年8月 5日
No.317 「グループホームに入所していた入居者が2度転倒し、骨折。施設を運営する会社に対し、損害賠償を命じた地裁判決」

神戸地方裁判所伊丹支部平成21年12月17日判決 判例タイムズ1326号239頁 (争点) 不可抗力の免責の可否 重過失免責又は過失相殺の可否 (事案) 平成11年6月、X(大正8年生まれの高齢者)は、訴外病院で脳血管性認知症であると診断された。 Xは、物取られ妄想や、徘徊で警察に保護されることが多...

2016年8月 5日
No.316 「グループホーム入居者がベッドから転倒し傷害を負ったことについて、グループホームを運営する会社の安全配慮義務違反及び情報提供義務違反を認めた地裁判決」

大阪地方裁判所平成19年11月7日判決 判例時報2025号96頁 (争点) グループホーム入居者の転落事故におけるホーム運営者の義務違反の有無 (事案) X(女性、事故当時86歳)は小学校教員を退職後、1人暮らしをしていたが、平成15年9月にXの長女A(幼少のころから別離していたが、平成5年ころ再会...

2016年7月10日
選択の視点【No.314、315】

今回は、分娩に関して、医師の過失が認められた判決を2件ご紹介します。 No.314の事案では、病院側は、医師が午前7時50分ころから直ちに吸引分娩に取りかかり、5、6回ほど吸引分娩を行い、最後の2回が滑脱したため、午前8時15分ころに、鉗子分娩に切り換えて、午前8時20分ころ、新生児を娩出したのであ...

2016年7月10日
No.315「胎児が出生後2日目に死亡。児頭の位置等を確認することなく吸引・鉗子分娩及びクリステレル胎児圧出法を実施した医師に過失を認めた地裁判決」

山口地方裁判所平成27年7月8日判決 判例時報2284号99頁 (争点) 分娩を担当したQ2医師の過失の有無 (事案) X(当時27歳)は、平成22年12月18日、Q医院(Q1医療法人社団が開設し産婦人科を経営する医院)で、Q2医師(Q1医療法人社団の代表者)の診察を受けて妊娠していることが確認され...

2016年7月10日
No.314「新生児に脳性麻痺の障害が残り、約6年半後に死亡。医師の分娩監視に過失があったとして、病院側の責任が認められた地裁判決」

大阪地方裁判所堺支部平成11年11月5日判決 判例タイムズ1032号219頁 (争点) Y2医師の分娩監視に不適切な点があるかどうか (事案) 平成3年10月23日、X(27歳・初産婦)は、Y病院(Y2医師の父親が経営していた産婦人科が、平成4年1月にY1医療法人として医療法人化され、Y2医師はその...

2016年6月10日
選択の視点【No.312、313】

今回は、高齢の患者に対する医薬品の投与・処方にあたり、医師が医薬品の添付文書記載の注意事項に従わなかったことにつき過失が認められた事案を2件ご紹介します。 No.312の事案では、高齢の患者の慰謝料(800万円)の判断に関して、裁判所は、「81歳という高齢ではあったが、被告病院に入院するまでは、明確...

2016年6月10日
No.313「約4ヶ月間にわたり、血液凝固能検査を行わないまま、ワーファリン錠を70代の患者に処方し、患者が脳内出血により死亡。医師の過失と患者の死亡との因果関係を認めて損害賠償を命じた地裁判決」

神戸地方裁判所 平成27年1月20日判決 判例時報2268号83頁 (争点) Y2医師に凝固能検査を怠った過失があったか Y2医師の過失とAの死亡との間に因果関係があるか (事案) A(死亡当時74歳の男性・公務員として勤務した後、定年退職し、自由業として稼働)は、平成14年11月、心房細動の治療の...

2016年6月10日
No.312「80代の患者が結腸の切除手術後、高カロリー輸液の投与を受けた際、医師がビタミンB1を補給せず、患者にウェルニッケ脳症が発症したとして、病院側に損害賠償責任が認められた地裁判決」

東京地方裁判所 平成14年1月16日判決 判例タイムズ1114号250頁 (争点) Aに対しビタミンB1を補給せずに高カロリー輸液を投与したことについての過失の有無 (事案) A(入院当時81歳の男性・本件訴訟中に死亡)は、平成8年6月ころから、腹部の膨満や腹痛を訴えるようになり、同年8月20日から...

2016年5月10日
選択の視点【No.310、311】

今回は、誤嚥に関して病院側の責任が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.310の事案では、死亡した4歳の女児の逸失利益を算定するにあたり、裁判所は、(女性労働者の平均賃金ではなく)男女を合わせた全労働者の平均賃金を用いるのが相当であると判示しました。 その理由として、裁判所は、今日女子の社会的...

2016年5月10日
No.311「入院中の高齢者が義歯を装着しないまま病院食であるおにぎりを誤嚥し、その後死亡。担当看護師に見守りに関する過失があったとして県立病院側に責任を認めた地裁判決」

福岡地方裁判所平成19年6月26日判決 (争点) Y2の見守りに関する過失の有無 (事案) A(当時80歳の男性)は、老人性認知症、前立腺肥大、高血圧、高尿酸血症の既往症を有し、平成12年3月10日から介護老人保健施設であるB荘に入所していたが、食欲不振および発熱のため、平成15年10月30日、Y1...

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