医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2016年11月10日
No.322「認可外保育施設において、うつ伏せ寝をしていた乳児が死亡。死因をSIDS(乳幼児突然死症候群)と認定して遺族の損害賠償請求を棄却した地裁判決を変更して、死因は鼻口閉塞による窒息死であり、施設側に過失があるとして、遺族への損害賠償を命じた高裁判決」

大阪高等裁判所平成27年11月25日判決 判例時報2297号58頁 (争点) 乳児の死因 保育従事者の過失の有無 本件施設の実質的経営者、本件施設の園長及び設置者の過失の有無 (事案) X1とX2は、平成21年11月初め頃のお試し保育を経て、X1らの子であるA(当時生後4か月)とB(Aの姉)について...

2016年10月 5日
選択の視点【No.320、321】

今回は、患者が死亡した事案で、診察時の医師の診断に過失が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.320の事案では、患者遺族は、転院先の医師についても、投与した輸液及び膵酵素阻害剤が不十分であった点、特に持続的動注治療法及び腹腔内投与法の処置をとらなかった点で過失があると主張しました。しかし、裁判...

2016年10月 5日
No.321 「診察後にケアホームに帰宅した患者が汎発性腹膜炎を発症し、敗血症により死亡。診察にあたった一般内科医が、消化管穿孔を疑い輸液等により循環状態を安定させた上で、高次医療機関に転医させるなどの注意義務を怠ったとして、病院側の責任を認めた地裁判決」

大阪地方裁判所平成27年5月26日判決 医療判例解説第62号103頁 (争点) 一般内科医であるY2医師が、その当時知り得た情報を前提に、本件X線写真から小腸拡張及び遊離ガス像を読み取れるか Y2医師の注意義務違反とAの死亡との相当因果関係の有無 (事案) 患者A(死亡時59歳の男性)は、統合失調症...

2016年10月 5日
No.320 「医師が患者の急性膵炎を急性胆嚢炎と診断したため、輸液と膵酵素阻害剤の投与が不足し、転院後に患者が死亡。転院前の医師の過失を認め、損害賠償を命じた地裁判決」

山口地方裁判所岩国支部平成12年10月26日判決 判例時報1753号108頁 (争点) 患者の死亡原因 転院前のクリニックの医師が急性膵炎ではなく急性胆嚢炎と診断した過失の有無 (事案) 患者A(昭和5年生まれの男性)は、平成6年7月17日午前6時頃、突然腹痛を覚え、同日午前9時頃にB医院で診察を受...

2016年9月 5日
選択の視点【No.318、319】

今回は、ERCP検査後に患者が急性膵炎を発症して死亡したことにつき、病院側の責任が認められた事案を2件ご紹介します。 No.318の事案では、患者遺族は、ERCP検査における手技上の過誤も主張しました。この点につき、裁判所は、患者について膵臓の疾患の疑いが全くなく、総胆管の造影を目的とした本件ERC...

2016年9月 5日
No.319 「患者がERCP検査後に急性膵炎を発症し、死亡。初期輸液量の不足、膵炎の重症度診断の遅れ、患者にボルタレンを投与したこと、抗生剤の予防的投与の遅れの4点につき病院側の過失を認め、損害賠償を命じた地裁判決」

大阪地方裁判所平成27年2月24日判決 医療判例解説61号2頁 (争点) ボルタレンを投与した過失の有無 抗生剤の予防的投与が遅れた過失の有無 医師らの過失と患者の死亡との間の因果関係の有無 (事案) 患者A(昭和14年生まれ、本件当時72歳、眼科開業医、男性)は、平成23年10月末から黄疸を自覚し...

2016年9月 5日
No.318 「県立病院で、胆石の精査・手術を目的として入院し、ERCP検査をした患者が急性膵炎を発症し死亡。急性膵炎の診断及びその重症化に対する対応について医師の注意義務が欠けていたとして、県立病院側の責任が認められた地裁判決」

名古屋地方裁判所平成16年9月30日判決 判例時報1889号92頁 (争点) 急性膵炎に対する治療に関する注意義務違反の有無 (事案) 平成8年7月末ころ、患者A(死亡当時66歳の男性・A株式会社の代表取締役)に上腹部から下胸部にかけての疼痛が現れたので、同年8月6日、B病院を受診したところ、超音波...

2016年8月 5日
選択の視点【No.316、317】

今回は、いわゆるグループホームでの転倒事故に関して、施設側の損害賠償責任が認められた事案を2件ご紹介します。 紹介にあたって、判決の原文で「痴呆」と記載されている箇所を「認知症」に変更しています。 No.316の事案では、入居者の後遺障害慰謝料の算定にあたり、入居者の認知症の症状が著明であり、骨折し...

2016年8月 5日
No.317 「グループホームに入所していた入居者が2度転倒し、骨折。施設を運営する会社に対し、損害賠償を命じた地裁判決」

神戸地方裁判所伊丹支部平成21年12月17日判決 判例タイムズ1326号239頁 (争点) 不可抗力の免責の可否 重過失免責又は過失相殺の可否 (事案) 平成11年6月、X(大正8年生まれの高齢者)は、訴外病院で脳血管性認知症であると診断された。 Xは、物取られ妄想や、徘徊で警察に保護されることが多...

2016年8月 5日
No.316 「グループホーム入居者がベッドから転倒し傷害を負ったことについて、グループホームを運営する会社の安全配慮義務違反及び情報提供義務違反を認めた地裁判決」

大阪地方裁判所平成19年11月7日判決 判例時報2025号96頁 (争点) グループホーム入居者の転落事故におけるホーム運営者の義務違反の有無 (事案) X(女性、事故当時86歳)は小学校教員を退職後、1人暮らしをしていたが、平成15年9月にXの長女A(幼少のころから別離していたが、平成5年ころ再会...

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