医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2018年4月 9日
No.357 「重症新生児仮死の状態で出生し、重度の後遺障害が発生したことにつき、医師に低酸素状態を原因とする脳性麻痺の後遺障害を回避するために急速遂娩を検討・実行すべき義務違反があったとして、病院に対し、子と両親合計で1億8000万円以上の賠償を命じた地裁判決」

高知地方裁判所平成 28年12月9日判決 判例時報2332号 71頁 (争点) 急速遂娩の準備及び実行をすべき義務を怠った過失の有無 (事案) X2(X1の母・初妊婦)は出産日の前日(妊娠39週2日)の午前7時45分頃、破水したため、午前8時45分頃、Yの運営する病院(以下、Y病院という)を訪ねた。...

2018年4月 9日
No.356 「子宮破裂後の分娩で重症新生児仮死に陥った新生児が約7ヶ月半後に死亡。帝王切開後の経膣分娩を試みた医師に継続監視を怠り子宮破裂の徴候を見落とした過失があるとした地裁判決」

福島地方裁判所平成25年9月17日判決 判例時報2213号83頁 (争点) 帝王切開後の経膣分娩(VBAC)における医師の過失の有無 (事案) Xは平成21年1月に、Y医師の経営するYマタニティ・クリニック(以下、Yクリニックという)において長男を帝王切開により出産した。 退院の際、XはYクリニック...

2018年3月 9日
選択の視点【No.354、355】

今回は患者が死亡した事案で、病院側の転送義務違反が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.354の事案では、裁判所は、医師らが患者に心筋梗塞の既往症が有ることを十分に了知した上で受け入れて脳内出血の治療を開始し、入院後も顕著な心筋梗塞の発作が発現していたものである以上、初期の治療目的が専ら脳内出...

2018年3月 9日
No.355 「再入院中に大動脈解離で患者が死亡。典型的な症状を示していたのに大動脈解離と診断せず、手術が可能である医療機関に転送しなかったことにつき注意義務違反を認めた地裁判決」

名古屋地方裁判所平成16年6月25日判決 判例タイムズ1211号 207頁 (争点) 転医義務違反の有無 (事案) 平成10年1月11日(日曜日)午前9時30分ころ、A(66歳の男性)は、入浴中に咽頭部から下顎部にかけて及び胸部にちくちくした痛みを感じ、次第に息苦しさや胸痛も出てきたため、午後0時3...

2018年3月 9日
No.354 「心筋梗塞の既往歴を有する患者を脳内出血の治療目的で受け入れた病院で、患者が死亡。医師に患者の病状を把握し、心疾患の専門医療機関への転院の処置等をしなかった過失があるとした地裁判決」

東京地方裁判所平成6年6月8日判決判例タイムズ879号 230頁 (争点) 医師らの転医義務違反の有無 (事案) A(大正14年生まれの男性)は昭和56年から心臓を患い、昭和57年12月には心筋梗塞のため心疾患の専門医療機関であるB研究所に3ヶ月にわたって入院し、その後も概ね1、2ヶ月に一回程度の割...

2018年2月 8日
選択の視点【No.352、353】

今回は、手術後の経過観察義務違反や検査義務違反が認められた事案を2件ご紹介します。 No.352の事案では、患者(専業主婦)は肛門括約筋の受傷時から完治までの間、ガス漏れや大便漏れ(月2回ないし3回程度)のため買物や散歩のための外出を控えざるを得なかったとして、裁判所は、患者が肛門括約筋断裂により労...

2018年2月 8日
No.353 「日帰りで内痔核根治術を受けた患者が4日後に敗血症により死亡。手術3日後の救急搬送時に血液検査を行わず、その後の血液検査結果からも患者の状態が重篤と判断しなかった医師らの過失を認めた地裁判決」

千葉地方裁判所平成28年3月25日判決 医療判例解説63号(2016年8月号)79頁 (争点) 救急搬送による入院時に血液検査を行わなかった過失の有無 Y3医師が血液検査から重篤であると判断しなかった過失の有無 (事案) 平成22年1月20日、A(昭和24年生まれの女性・主婦・平成11年にゴム輪結紮...

2018年2月 8日
No.352 「出産後の肛門括約筋断裂につき、会陰切開後の創部感染によるものとして、医師の経過観察義務違反を認定した地裁判決。」

京都地方裁判所平成3年12月5日判決判例タイムズ788号 252頁 (争点) 経過観察義務違反の有無 (事案) X(分娩時29歳の女性・専業主婦)は、昭和59年4月21日午前6時頃、Y医師の開設、経営する産婦人科病院(以下、Y病院という)に入院し、同日午前6時30分第一子を、同36分第二子をそれぞれ...

2018年1月10日
選択の視点【No.350、351】

今回は、薬剤不投与に関する病院の過失が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.350の事案では、病院側は、当時は経口摂取中のビタミン補給に対する保険診療の査定が厳しかった旨主張しましたが、裁判所は、患者が厚生省(当時)の保険診療に関する運用通達が定める要件を充足しており、当該患者については高カロ...

2018年1月10日
No.351 「サンディミュン投与による免疫抑制療法を行っていた再生不良性貧血患者に対して投与を中止したが、患者が死亡。サンディミュンの再投与が遅れたとして県立病院側の責任を認めた高裁判決。」

仙台高等裁判所平成28年2月26日判決 医療判例解説70号62頁 (争点) サンディミュン再投与義務違反の有無 (事案) 平成6年7月4日、A(昭和26年生まれの女性)は、倦怠感などを訴え、Y県が設置・管理する病院(以下、Y病院という)で診察を受けたところ、7月6日、再生不良性貧血と診断された。 A...

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