医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2018年11月 8日
No.370 「中大脳動脈ネッククリッピング手術後に患者に脳梗塞が発症。執刀医にクリップの先端が他の血管を挟んでいないかどうかの確認を怠った過失等を認めた地裁判決」

京都地方裁判所 平成12年9月8日判決 判例タイムズ1106号196頁 (争点) 動脈瘤の基部以外の血管をクリップで挟んだことに関する過失の有無 M2上行枝にキンク(ねじれ)を生じさせたことに関する過失の有無 (事案) X(症状固定時69歳の女性)は、平成8年11月27日、Y1医療法人の開設する脳神...

2018年10月10日
選択の視点【No.368、369】

今回は、内臓損傷を受けて搬送された後、死亡した患者への治療につき、搬送先病院・医師の注意義務違反・過失が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.368の事案では、病院側は、高所から転落した患者を救急患者として受け入れるに至った経緯について、当時満床であったことから、他の総合病院や大学病院の救命救...

2018年10月10日
No.369 「交通事故により負傷した患者が病院搬送後、心筋梗塞により死亡。腸管損傷の疑いが否定できなかったにもかかわらず開腹手術実施を遅らせた医師の過失を認めた地裁判決」

広島地方裁判所平成11年3月29日判決 判例タイムズ1069号226頁 (争点) 開腹手術実施が遅れた過失の有無 医師らの過失と患者死亡との因果関係の有無 (事案) 平成6年6月25日午後5時50分ころ、A(死亡当時72歳の男性)は飲酒の上で軽四輪自動車を運転していた際、普通乗用自動車との正面衝突事...

2018年10月10日
No.368 「高所から飛び降り、救急指定病院に搬送された患者が、大学病院へ転送された後胸腹腔内臓器損傷により死亡。救急指定病院の当直医には異常所見を見落とす等の注意義務違反が認められるが、救命可能性が低いことから死亡との因果関係は否定して、救急指定病院側に患者両親に対する慰謝料の支払を命じた判決」

東京地方裁判所平成11年2月24日判決 判例タイムズ1072号216頁 (争点) 救急指定病院医師の診療契約上の注意義務違反の有無 損害 (事案) 平成3年6月7日夜、A(当時29歳の女性)は、自宅から外出し、同月8日午前0時過ぎころ(以下、特段の断りのない限り平成3年6月8日のこととする)、飛び降...

2018年9月 6日
選択の視点【No.366、367】

今回は、周産期医療における医師の過失が認定された事案を2件ご紹介します。 No.366の事案では、分娩監視記録が胎児仮死状態と整合するか否かにつき、争いがありました。裁判所は、12時11分ころから14時17分ころまでの記録については、3人の鑑定の結果で、1人目が「遅発一過性徐脈が継続して認められる」...

2018年9月 6日
No.367 「常位胎盤早期剥離から産科DICを発症し妊婦が死亡。遺族の請求を棄却した一審判決を変更して、医師らに産科DIC防止に関する過失、ショックに対する治療に関する過失、出血量チェック及び輸血に関する過失があるとした高裁判決」

東京高等裁判所平成28年5月26日判決 判例タイムズ1441号42頁 (争点) 常位胎盤早期剥離発症時における産科DIC防止に関する過失の有無 産科DIC及びショックに対する治療に関する過失の有無 (事案) A(身長164cmの女性)は、Y医療法人の運営する病院(以下、「Y病院」という。)の産婦人科...

2018年9月 6日
No.366 「新生児仮死の状態で出生した子が、重症酸素性脳障害の後遺障害を負い、その後、気管狭窄のため死亡。医師に胎児仮死遷延回避義務違反を認めた地裁判決」

福岡地方裁判所平成18年1月13日判決 判例時報1940号140頁 (争点) 新生児仮死発生の機序 胎児仮死遷延回避義務違反 胎児仮死遷延回避義務違反と損害との因果関係 (事案) 平成4年9月1日、X1は、Y医療法人の開設する産婦人科(以下、「Y医院」という。)で、Y医療法人の理事長でもあるH医師の...

2018年8月10日
選択の視点【No.364、365】

今回は、薬剤投与に関する医師の過失が認められた事案を2件ご紹介します。 No.364の事案では、動脈管の閉鎖予防に有効なパルクスの点滴静注中止について、病院側は、代わりにプロスタルモンの経口投与を継続したので問題はないと主張しました。しかし、裁判所は、プロスタルモンは、一般に妊娠末期における陣痛誘発...

2018年8月10日
No.365 「国立大学病院で脳血管造影検査を受けた患者が脳出血を起こし死亡。検査中に患者に異常が認められたにもかかわらず、検査を続行し、血栓溶解剤ウロキナーゼを合計2回にわたり48万単位投与した医師の過失を認めた高裁判決」

高松高等裁判所平成14年8月29日 判例時報1816号 69頁 (争点) 検査を実施した医師の責任の有無 (事案) A(当時82歳の男性・個人商店経営)は、子とともに、平成6年6月15日、国の設置する大学病院(以下、「Y病院」という。)脳神経外科外来を受診した(以下、特別の記載のない限り同年のことと...

2018年8月10日
No.364 「大学病院で、ファロー四徴症に対する姑息手術を受けた0歳児が動脈血酸素飽和度の低下により死亡。動脈管閉鎖への対応措置を怠った医師の過失を認定した地裁判決」

東京地方裁判所平成13年7月5日判例タイムズ 1131号 217頁 (争点) 患者が死亡するに至った機序 患者の死亡は病院医師の過失によるものであるか否か (事案) 平成6年7月21日、A(女児・出生体重2195グラム)は、Y学校法人が開設・経営するY大学医学部附属Y病院(以下「Y病院」という。)で...

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