医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2021年1月 8日
No.422 「乳がんが再発した患者が死亡。再発の発見が遅れた医師の過失があるとして、病院側に延命利益の喪失による慰謝料の支払いを命じた地裁判決」

東京地方裁判所平成8年10月21日判決 判例タイムズ939号210頁 (争点) 病院医師らに、乳がんの再発を発見するのが遅れた過失があったか否か 因果関係の有無 (事案) A(昭和19年生まれの女性、死亡時48歳)は、昭和60年1月17日、勤務先の定期検診で右乳房にしこりがある旨指摘され、同年2月2...

2020年12月10日
選択の視点【No.420、421】

今回はリウマチの治療法に関し、医師の過失が認められた裁X判例を2件(1件は治療薬の副作用、もう1件は、喘息治療に転用された冷凍療法がそれぞれ問題となりました)ご紹介します。 No.420の事案では、医師本人は、裁判所での尋問で、注射をする度ごとに、副作用のXについて問診をしたと供述しましたが、裁判所...

2020年12月10日
No.421 「気管支喘息の患者が冷凍療法実施の際に喘息発作により死亡。医師に健康状態精査・発作に対処する体制整備・症状悪化防止措置・救命措置それぞれを怠った過失が認められた事案」

東京地方裁判所平成3年9月27日判決 判例タイムズ774号247頁 (争点) 冷凍療法を実施する医師の責任の有無 (事案) A(死亡当時60歳のフランス人・パリ在住のレストラン経営者)は、昭和54年ころから気管支喘息で苦しみ、フランスで治療を受けていたところ、通称「**リウマチ**病院」(以下、「Y...

2020年12月10日
No.420 「慢性リウマチの患者に対し、シオゾールを投与し副作用で患者が全身脱毛。医師に投与開始時の説明指示義務・各注射時の問診診察義務・投与中の尿、血液検査義務の違反を認めた地裁判決」

横浜地方裁判所昭和63年4月22日判決 判例時報1303号 108頁 (争点) シオゾール投与における医師の注意義務違反の有無 (事案) 昭和55年2月頃、X(当時61歳の主婦)は、身体中の筋肉に軽い痛みを覚え、同年3月14日、Y医師の経営する整形外科(以下、「Y医院」という。)でY医師の診察を受け...

2020年11月 9日
選択の視点【No.418、419】

今回は、美容整形に関して医師の責任が認められた判決を2件ご紹介します。 No.418の事案では、医師による治療を怠ったことも債務不履行であると認定されました。しかし損害については、裁判所は、そもそも、脱毛治療として被告病院が行っていたところのものは、患者に施された2つの方法の他にはより簡略なものが1...

2020年11月 9日
No.419 「脂肪吸引手術を受けた患者の臀部に凹凸・非対称が生じたのは、医師が2回目の手術で必要以上の多量の脂肪を吸引したからだとして、病院側の過失が認められた事案」

東京地方裁判所平成8年2月7日判決 判例時報1581号 77頁 (争点) 脂肪吸引手術をした医師の責任の有無 (事案) X(昭和36年生まれの沖縄在住の独身女性・看護師として稼働)は、昭和63年当時、雑誌に掲載されたY医師の経営する医院(以下、「Y医院」という。)の脂肪吸引手術についての記事を読んで...

2020年11月 9日
No.418 「多毛症の人に対し、永久脱毛の困難等についての説明がないまま看護師による脱毛治療を3年余り継続。医師の説明義務違反につき損害賠償(治療費と慰謝料)を命じた地裁判決」

名古屋地方裁判所昭和56年11月18日判決 判例タイムズ462号 149頁 (争点) 医師に説明義務違反があったか否か 損害額 (事案) X(初診時28歳の独身女性)は、23、4歳ころより、自分の脚部が他の女性に較べ毛深いことに気付き、それ以来これを気にしてきたことから、昭和49年夏ころ、専門医のも...

2020年10月 9日
選択の視点【No.416、417】

今回は、産婦人科医の不法行為責任が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.416の事案で、医師は、薬剤(イトリゾール)処方時に催奇形作用の説明をしなかったことにつき、患者が初診時に結婚以来避妊していたと述べたため、その後も避妊し続けると考えたこと、患者には排卵障害があり妊娠しないと判断したことか...

2020年10月 9日
No.417 「常位胎盤早期剥離の疑いが濃厚な状況にもかかわらず、宿直医が早期に帝王切開を行わなかった結果、胎児が出産直前に死亡。宿直医の過失隠ぺい行為なども考慮して高額の慰謝料を含む損害賠償を命じた地裁判決」

東京地方裁判所平成14年12月18日判決 判例タイムズ1182号295頁 (争点) 宿直医の診療上の過失の有無 逸失利益及び慰謝料 (事案) X1は、平成9年12月2日にY1医師の開設する産科・婦人科病院(以下、「Y病院」という。)で診察を受け、平成10年8月6日に出産予定と診断された。 平成10年...

2020年10月 8日
No.416 「催奇形性作用について説明されることなくイトリゾールを処方され服用した女性が妊娠し、やむなく人工妊娠中絶手術に至ったとして、産婦人科医に薬剤の副作用についての説明義務違反が認められた事案」

大阪地方裁判所平成14年2月8日判決 判例タイムズ1111号163頁 (争点) 説明義務違反の有無 慰謝料額 (事案) X(昭和47年生まれで、平成10年4月に結婚した女性)は、平成11年3月19日、生理不順による不正出血を理由として、Y医師(産婦人科医)の経営するクリニック(以下、「Yクリニック」...

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