医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2025年3月10日
選択のポイント【No.522、523】

今回は、転落防止措置に関連して病院の過失が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.522の事案では、遺族は、転落事故後、患者の左手に装着されていたミトンが安全ベルトに装着された状態で患者の左手から外れており、右手に装着されていた固定板と安全ベルトを繋いでいたマジックテープがリング上でベッド上に残...

2025年3月10日
No.523「入院中の高齢患者に対する体幹抑制及び上肢抑制が、転倒転落の防止及び点滴の自己抜去防止のために必要やむを得ないものではなく違法と判断して、慰謝料の支払いを病院側に命じた地裁判決」

名古屋地方裁判所令和5年1月20日判決 医療判例解説(2024年12月号)113号15頁ウェストロージャパン (争点) 患者に対する身体拘束が違法であったか否か *以下、原告を◇1および◇2、被告を△と表記する。 (事案) A(当時91歳・女性)は、平成29年(以下、特段の断りがない限り同年のことと...

2025年3月10日
No.522「ICUで治療を受けていた患者が不穏によりベッドから床面に転落して脳死状態になり、その後死亡。病院側に転落を防止し、又は転落により重篤な障害が発生することを防止するために必要な措置を講じるべき義務違反があったとした高裁判決」

高松高等裁判所令和4年6月2日判決 医療判例解説(2023年2月号)102号19頁ウェストロージャパン (争点) 医師及び看護師が、患者がベッドから転落することを防止し、又は転落により重篤な障害が発生することを防止するために、必要な措置を講じるべき義務があったか否か *以下、原告を◇1ないし◇2、被...

2025年2月10日
選択のポイント【No.520、521】

今回は、妊産婦に対する医師や助産師の過失が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.520の事案では、一審判決(静岡地裁沼津支部平成30年3月7日判決)も参考にしました。同事案では、一審裁判所も控訴審裁判所も、患者の最初の肺血栓塞栓症の発症については、医師の過失はないと判断しました。しかし、肺血栓...

2025年2月10日
No.521「アトニン投与を受けた妊婦が子宮破裂により死亡。助産師が胎児心拍波形の異常を医師に報告し、アトニン投与を中止するか減量すべき注意義務に違反した認定をした地裁判決」

東京地方裁判所令和5年2月20日判決 判例タイムズ1525号230頁 (争点) アトニン投与における助産師の過失の有無 *以下、原告を◇1ないし◇3、被告を△と表記する。 (事案) A(死亡時34歳の女性)は、平成29年11月20日、医療法人社団である△の運営する病院(以下「△病院」という。)を受診...

2025年2月10日
No.520「入院中の妊婦が肺血栓塞栓症を発症・再発し重篤な後遺障害が残りその後死亡。循環器内科の担当医に過失があったと判断した高裁判決」

東京高等裁判所令和元年12月5日判決 医療判例解説(2021年1月号)92号16頁 (争点) 医師に肺血栓塞栓症発症に関する過失があるか否か *以下、原告を◇1ないし◇4、被告を△と表記する。 (事案) A(昭和48年生まれの女性)は、平成21年(以下、特別の断りのない限り同年のこととする。)2月1...

2025年1月10日
選択のポイント【No.518、519】

今回は、説明義務違反が争点となった裁判例を2件ご紹介します。 No.518の事案では、被告歯科医師は、カルテの開示を拒絶した点について、患者の威圧的言動から、カルテを開示した場合には、歯科の正常な業務に支障が出るおそれがあったこと、患者が相談したとする歯科医師の助言内容は、被告の歯科医師の治療方法を...

2025年1月10日
No.519「脳動脈瘤流入血管クリッピング術を受けた患者が術後感染症により死亡。術前及び術後の説明義務違反に基づく慰謝料を認めた高裁判決」

大阪高等裁判所令和2年11月26日判決 医療判例解説(2021年12月号)95号65頁・ウェストロージャパン (争点) 医師に術前の説明義務違反があったか否か 医師に術後の説明義務違反があったか否か *以下、控訴人兼附帯被控訴人(1審原告)を◇1ないし◇4、被控訴人兼附帯控訴人(1審被告)を△と表記...

2025年1月10日
No.518「診療契約に伴う付随義務あるいは信義則上の義務として、歯科医師に診療経過の説明及びカルテの開示をすべき義務違反が認められた地裁判決」

東京地方裁判所平成23年1月27日判決 判例タイムズ1367号212頁 (争点) 診療契約に伴う付随義務あるいは信義則上の義務として、歯科医師に診療経過の説明及びカルテの開示をすべき義務違反があったか否か *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) ◇(昭和37年生まれの男性)は、平成19年6...

2024年12月10日
選択のポイント【No.516、517】

今回は多胎妊娠に関する裁判例を2件ご紹介します。 No.516の事案では、医師は最初のNSTの際にドップラーにより児心音を確認したと証言しており、母親の外来カルテの同日の欄には右鼠蹊部やや上方と臍部左外側に心音を確認したことを示す×印の記載が存在しました。 しかし、裁判所は、このカルテの同日の欄に、...

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