医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2025年12月10日
選択のポイント【No.540、541】

今回は喘息患者に対する治療における医師の過失が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.540の紹介にあたっては、判例タイムズの解説も参考にしました。 No.540の事案では、医師が、患者の死因は患者の妻が消化不良の状態にある入院患者に多量のすしを食べさせたため、患者に急性胃拡張及びこれによる胸部...

2025年12月10日
No.541「人工呼吸管理中の気管支喘息患者が呼吸不全による脳組織低酸素状態となり後遺障害が残存。病院の債務不履行責任を認めた地裁判決」

東京地方裁判所平成14年2月13日判決 判例タイムズ1140号214頁 (争点)  人工呼吸管理下において◇が脳組織低酸素状態になったことについて、△が債務不履行責任及び不法行為責任を負うかどうか *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) ◇(昭和10年9月26日生まれの女性)は、昭和57、...

2025年12月10日
No.540「喘息患者が急性心不全により死亡したのは、医師が医学上の定説を著しく逸脱する薬剤投与を行い、副作用に対する適切な措置を怠ったからだとして医師及び病院に損害賠償を命じた地裁判決」

大阪地方裁判所昭和59年4月27日判決 判例タイムズ532号234頁 (争点) 医師に注意義務違反があったか否か *以下、原告を◇1ないし◇3、被告を△1及び△2と表記する。 (事案) A(昭和27年生まれの男性)は、昭和54年3月中旬ごろから朝方咳が出るようになり、Oクリニックで気管支炎の診断のも...

2025年11月10日
選択のポイント【No.538、539】

今回は、癌患者に対する標準的ではない治療法や自由診療として行われた治療法についての説明義務違反が認められた裁判例を2件ご紹介いたします。 No.538の判例紹介にあたっては、一審の東京地裁平成9年4月25日判決(判例タイムズ968号210頁)も参考にしました。 No.538の事案で、裁判所は、患者な...

2025年11月10日
No.539「遠位胆管がん患者が自家がんワクチン療法を受けたがその後死亡。医師の説明義務違反及び検査義務違反を認めた控訴審判決」

東京高等裁判所令和4年7月6日判決 判例時報2553号12頁 (争点) 医師に説明義務違反があったか否か 医師に検査義務違反があったか否か *以下、原告を◇、被告を△1及び△2と表記する。 (事案) A(昭和19年生まれの男性)は、D病院において、遠位胆管がんと診断され、平成26年5月14日、幽門輪...

2025年11月10日
No.538「子宮内膜癌の患者に当時標準的な治療法として確立していなかった化学療法を実施し、患者が副作用により死亡。患者遺族の請求を棄却した地裁判決を変更し、国立大学病院の医師に説明義務違反を認めた高裁判決」

東京高等裁判所平成11年9月16日判決 判例時報1710号105頁 (争点) 医師の説明義務違反があるか否か *以下、控訴人らを◇1ないし◇4、被控訴人を△と表記する。 (事案) A(死亡時72歳の女性)は、平成4年6月15日、国である△の経営する大学附属病院(以下「△病院」という。)で初診を受け、...

2025年10月 9日
選択のポイント【No.536、537】

今回は入院患者がベッドから転落した事案について、病院側の責任が認められた裁判例を2件ご紹介いたします。 No.536の紹介にあたっては、判例タイムズの解説も参考にしました。 同事案では、転落当時ベッドの柵が立ててあったか否かについて争いがあり、ベッド左側の柵が立ててあったとの証言がありましたが、裁判...

2025年10月 9日
No.537「病室のベッドから入院患者が転落。食事介助にあたり半分下げていた下半身方向のベッド柵を完全に上げることをせずに患者のそばから離れた担当看護師の過失を認めた地裁判決」

東京地方裁判所平成27年1月27日判決 ウェストロージャパン (争点) 担当看護師の過失の有無 看護部長の過失の有無 *以下、原告を◇、被告を△1及び△2と表記する。 (事案) ◇は、B(昭和3年生まれ)の子であり、 b病院勤務の内科医師である。 △2は本件病院(以下「△病院」という...

2025年10月 9日
No.536「結節性動脈周囲炎の患者がベッドから転落し、急性副腎不全による高カリウム血症により死亡。病院の転落防止措置義務違反を認めた高裁判決」

東京高等裁判所平成11年9月16日判決 判例タイムズ1038号238頁 (争点) 死因とベッドからの転落との間に因果関係があったか否か 病院にベッドの転落防止措置を怠った過失があったか否か *以下、原告を◇1及び◇2、被告を△と表記する。 (事案) A(明治41年生まれ)は、膠原病の一種である結節性...

2025年9月11日
選択のポイント【No.534、535】

今回は施設入居者のてんかん発作に関する施設の責任が認められた裁判例を2件ご紹介いたします。 No.534の事案では、遺族は、入居者が他の入居者から暴行被害を受けていたことについても施設側に慰謝料請求をしました。 そして、裁判所は、被告(社会福祉法人)は知的障害児施設を設置運営し、寮等の施設において、...

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