医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2024年10月10日
選択のポイント【No.512、513】

今回は、気管挿管に関連して医師の過失が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.512の紹介にあたっては、一審(平成28年3月29日神戸地裁判決・出典ウエストロー・ジャパン)も参考にしました。 No.512の事案では、因果関係も争点となり、病院側は医師の善管注意義務違反と患者の重篤な後遺障害の発生...

2024年10月10日
No.513「手術後、再挿管時の気管チューブが食道に入った患者が挿管遷延性意識障害に陥り、その後死亡。医師らに再挿管後の確認義務違反を認め、遷延性意識障害に陥らなかった相当程度の可能性を侵害された慰謝料の支払を命じた高裁判決」

東京高等裁判所令和4年3月22日判決 判例時報2568号48頁 (争点) 医師に過失(再挿管後の確認義務)があったか否か 過失と本件遷延性意識障害との間の相当因果関係の有無 *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) 平成22年11月30日、A(手術当時34歳の女性・会社勤務)は、一般財団法人...

2024年10月10日
No.512「約107時間の気管挿管の後に、医師が挿管チューブを抜管し、患者が喉頭浮腫による上気道閉塞・心停止から低酸素脳症となり、重篤な後遺障害が残存。医師に気道緊急に備えて準備すべき義務違反を認めた高裁判決」

大阪高等裁判所平成28年11月11日判決 ウエストロー・ジャパン (争点) 医師に善管注意義務があったか否か *以下、原告(被控訴人・附帯控訴人)を◇、被告(控訴人)を△と表記する。 (事案) ◇(昭和48年生まれ、本件事故当時34歳の女性。パート労働をしながら家事も行い、事故当時7歳と12歳の息子...

2024年9月10日
選択のポイント【No.510、511】

今回は、出生後間もない患児への対応に関して病院側に損害賠償が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.510の事案では、医師の過失が認められましたが、他方で、裁判所は、もともと新生児の敗血症や髄膜炎の予後は著しく不良であるうえ、原告患者の場合にはこれに脳膿瘍や脊髄炎を合併するという通常とは異なる経...

2024年9月10日
No.511「吸引分娩から約12時間後に新生児が死亡。助産師が医師に顔面チアノーゼ等の適切な報告を怠ったとして、病院側に損害賠償を命じた地裁判決」

大阪地裁令和5年1月24日判決 医療判例解説106号(2023年10月号)81頁 (争点) 11月21日午前0時25分頃の時点で、助産師が医師に、顔面チアノーゼ、全身色不良、うなり呼吸を報告すべきであったか *以下、原告を◇1及び◇2、被告を△と表記する。 (事案) ◇1は、不妊治療を経て平成29年...

2024年9月10日
No.510「出生した児に脳脊髄膜炎、脊髄炎による後遺症が生じ、医師が敗血症、髄膜炎を疑って、検査・治療を開始すべき義務あるいは専門施設に転院すべき義務に違反したと判断した地裁判決」

横浜地方裁判所平成2年4月25日判決 判例タイムズ739号156頁 (争点) 医師に注意義務違反があったか否か *以下、原告を◇1ないし◇3、被告を△と表記する。 (事案) ◇1(出産時35歳の女性)は、これまで妊娠の経験がなかったところ、昭和55年8月6日、自宅近くのN産婦人科医院で妊娠の診断を受...

2024年8月 9日
選択のポイント【No.508、509】

今回は同一患者に対して複数回実施された手術に関して医師の過失(注意義務違反)が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.508の事案では、医師の過失と患者の死亡との因果関係も争点となりました。 裁判所は、第一次手術後に本件穿孔が発生しなければ腸内容物の漏出に伴う細菌の腹腔内への侵入による汎発性腹膜...

2024年8月 9日
No.509「腰椎椎間板損傷の治療のため3度の手術をした患者が下半身不随に。医師に2度目、3度目の神経剥離術における過失や説明義務違反等が認められた地裁判決」

東京地方裁判所平成6年12月21日 判例タイムズ895号222頁 (争点) 第2回手術及び第3回手術における医師の過失の有無 説明義務違反の有無 *以下、原告を◇、被告を△1および△2と表記する。 (事案) 昭和57年10月21日、◇(当時34歳の男性・クリーニング店勤務)は、勤務先のクリーニング店...

2024年8月 9日
No.508「一度目の手術後に腸の穿孔が発生し、二度目の手術の後、複合臓器不全により患者が死亡。手技上の過誤により穿孔を発生させた医師が、この過誤に起因する症状に対する最善の治療に努める注意義務に違反したと判断した地裁判決」

東京地方裁判所 平成元年11月13日判決 判例タイムズ726号198頁 (争点) 第一次手術の手技の過誤があるか否か 第二次手術方法の選択の過誤があるか否か *以下、原告を◇1および◇2、被告を△1および△2と表記する。 (事案) A(死亡当時34歳の男性・2つの会社の取締役)は、昭和55年10月1...

2024年7月10日
選択のポイント【No.506、507】

今回は施設入居中の高齢者への対応に関し、医師の過失(注意義務)が認定された裁判例を2件ご紹介いたします。 No.506の事案では、原告側は、看護師及び医師の、吐物の吸引や救命行為の過失も主張しました。しかし、裁判所は、看護師が吐物の吸引を行った際の患者の姿勢について、看護師の証言に反する客観的な証拠...

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