医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2025年11月10日
選択のポイント【No.538、539】

今回は、癌患者に対する標準的ではない治療法や自由診療として行われた治療法についての説明義務違反が認められた裁判例を2件ご紹介いたします。 No.538の判例紹介にあたっては、一審の東京地裁平成9年4月25日判決(判例タイムズ968号210頁)も参考にしました。 No.538の事案で、裁判所は、患者な...

2025年11月10日
No.539「遠位胆管がん患者が自家がんワクチン療法を受けたがその後死亡。医師の説明義務違反及び検査義務違反を認めた控訴審判決」

東京高等裁判所令和4年7月6日判決 判例時報2553号12頁 (争点) 医師に説明義務違反があったか否か 医師に検査義務違反があったか否か *以下、原告を◇、被告を△1及び△2と表記する。 (事案) A(昭和19年生まれの男性)は、D病院において、遠位胆管がんと診断され、平成26年5月14日、幽門輪...

2025年11月10日
No.538「子宮内膜癌の患者に当時標準的な治療法として確立していなかった化学療法を実施し、患者が副作用により死亡。患者遺族の請求を棄却した地裁判決を変更し、国立大学病院の医師に説明義務違反を認めた高裁判決」

東京高等裁判所平成11年9月16日判決 判例時報1710号105頁 (争点) 医師の説明義務違反があるか否か *以下、控訴人らを◇1ないし◇4、被控訴人を△と表記する。 (事案) A(死亡時72歳の女性)は、平成4年6月15日、国である△の経営する大学附属病院(以下「△病院」という。)で初診を受け、...

2025年10月 9日
選択のポイント【No.536、537】

今回は入院患者がベッドから転落した事案について、病院側の責任が認められた裁判例を2件ご紹介いたします。 No.536の紹介にあたっては、判例タイムズの解説も参考にしました。 同事案では、転落当時ベッドの柵が立ててあったか否かについて争いがあり、ベッド左側の柵が立ててあったとの証言がありましたが、裁判...

2025年10月 9日
No.537「病室のベッドから入院患者が転落。食事介助にあたり半分下げていた下半身方向のベッド柵を完全に上げることをせずに患者のそばから離れた担当看護師の過失を認めた地裁判決」

東京地方裁判所平成27年1月27日判決 ウェストロージャパン (争点) 担当看護師の過失の有無 看護部長の過失の有無 *以下、原告を◇、被告を△1及び△2と表記する。 (事案) ◇は、B(昭和3年生まれ)の子であり、 b病院勤務の内科医師である。 △2は本件病院(以下「△病院」という...

2025年10月 9日
No.536「結節性動脈周囲炎の患者がベッドから転落し、急性副腎不全による高カリウム血症により死亡。病院の転落防止措置義務違反を認めた高裁判決」

東京高等裁判所平成11年9月16日判決 判例タイムズ1038号238頁 (争点) 死因とベッドからの転落との間に因果関係があったか否か 病院にベッドの転落防止措置を怠った過失があったか否か *以下、原告を◇1及び◇2、被告を△と表記する。 (事案) A(明治41年生まれ)は、膠原病の一種である結節性...

2025年9月11日
選択のポイント【No.534、535】

今回は施設入居者のてんかん発作に関する施設の責任が認められた裁判例を2件ご紹介いたします。 No.534の事案では、遺族は、入居者が他の入居者から暴行被害を受けていたことについても施設側に慰謝料請求をしました。 そして、裁判所は、被告(社会福祉法人)は知的障害児施設を設置運営し、寮等の施設において、...

2025年9月11日
No.535「てんかん発作により障害者総合福祉施設の入所者が死亡。救急要請が遅れたことにつき施設職員の注意義務違反を認めた地裁判決」

横浜地方裁判所令和6年1月31日判決 判例タイムズ1531号177頁 (争点) 施設職員に過失があったか否か *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) 社会福祉法人である△が運営する障害者総合福祉施設(以下「△施設」という。)は、常時介護を要する重度障害者に対し、利用者個々の特性に応じた介護...

2025年9月11日
No.534「知的障害児施設の寮の入所者が浴室内で溺死。損害賠償に関して最低賃金額を基礎収入として逸失利益を算定すべきとした地裁判決」

青森地方裁判所平成21年12月25日判決 判例時報2074号113頁 (争点) 責任分担法理の準用による賠償額の減額の可否 逸失利益の算定 *以下、原告を◇1及び◇2、被告を△1及び△2と表記する。 (事案) A(死亡当時16歳・重度の知的障害を有する男性)は自閉症、てんかん、行動障害及び重度の知的...

2025年8月 7日
選択のポイント【No.532、533】

今回は、癌で死亡した患者につき、いわゆる「相当程度の可能性の侵害」が認められた裁判例を2件ご紹介します。 最高裁判所平成12年9月22日判決は、「医師の医療行為が、その過失により、当時の医療水準にかなったものでなかった場合において、右医療行為と患者の死亡との間の因果関係の存在は証明されないけれども、...

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