医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2026年2月10日
選択のポイント【No.544、545】

今回は、救急搬送後に退院(帰宅)した患者の容態が悪化したことについて、病院側の責任が認められた判決を2件ご紹介します。 No.544の事案では、控訴審裁判所は、損害額の算定にあたり、救急搬送時には患者の頭蓋内には相当程度に進行し、肥大化したのう胞が存在していたこと、病院としては、小児科救急医療の受入...

2026年2月10日
No.545「救急受診した患者が帰宅後、慢性硬膜下血腫により高度意識障害等の後遺障害が残った事案で、CT検査の実施や脳神経外科医への相談をしなかった医師の注意義務違反を認めた地裁判決」

大津地方裁判所令和7年1月17日判決 医療判例解説(2025年10月号)118号47頁 (争点) 医師らに遅くとも二度目の救急受診の診察終了時までにCT検査をして脳神外科医師に相談すべき意義務があったか否か *以下、原告を◇1および◇2、被告を△と表記する。 (事案) C(平成31年4月30日当...

2026年2月10日
No.544「中学生が救急搬送され、診察後退院指示により帰宅後に脳ヘルニアで死亡。医師に頭蓋内圧亢進を疑ってCT検査等を実施すべき義務違反等を認めた控訴審判決」

東京高等裁判所平成30年3月28日判決 判例時報2400号5頁 (争点) 救急搬送時の検査義務違反があったか否か 退院時の検査義務違反があったか否か *以下、原告を◇、被告を△1および△2と表記する。 (事案) 町(その後M市に編入合併)である△1の開設する病院(以下「△病院」という。)は、救急総合...

2026年1月13日
選択のポイント【No.542、543】

今回は、患者・入所者の転落につき、病院・施設側の工作物責任が認められた裁判例を2件ご紹介します。 民法717条は、土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって、他人に損害が生じた場合にはその工作物の占有者が被害者に対して損害賠償の責任を負うことを定めています。そして、工作物が通常有すべき安全性...

2026年1月13日
No.543「高次脳機能障害のある患者が入院中に病室の窓から転落して死亡。病室の窓及びベランダに設置又は保存の瑕疵があったとして病院の工作物責任を認めた事案」

東京地方裁判所令和6年9月6日 判例時報2630号98頁 (争点) 病院側に、窓及びベランダの設置又は保存の瑕疵があったか否か *以下、原告を◇1~◇4、被告を△と表記する。 (事案) A(昭和25年生まれ、死亡当時70歳の女性)は、令和3年3月14日、左脳皮質下出血を発症し、救急要請によりC病院に...

2026年1月13日
No.542「介護老人保健施設の短期入所者が2階にある食堂の窓から落下し死亡。遺族の請求を棄却した一審判決を変更して、施設開設者の工作物責任を認めて損害賠償を命じた高裁判決」

東京高等裁判所平成28年3月23日判決 ウェストロージャパン (争点)  認知症専門棟2階にある食堂の窓につき工作物責任があったか否か *以下、原告を◇1および◇2、被告を△と表記する。 (事案) A(昭和2年生まれの男性)は、平成20年頃から認知症様の症状が出現するようになり、平成22年に医師によ...

2025年12月10日
選択のポイント【No.540、541】

今回は喘息患者に対する治療における医師の過失が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.540の紹介にあたっては、判例タイムズの解説も参考にしました。 No.540の事案では、医師が、患者の死因は患者の妻が消化不良の状態にある入院患者に多量のすしを食べさせたため、患者に急性胃拡張及びこれによる胸部...

2025年12月10日
No.541「人工呼吸管理中の気管支喘息患者が呼吸不全による脳組織低酸素状態となり後遺障害が残存。病院の債務不履行責任を認めた地裁判決」

東京地方裁判所平成14年2月13日判決 判例タイムズ1140号214頁 (争点)  人工呼吸管理下において◇が脳組織低酸素状態になったことについて、△が債務不履行責任及び不法行為責任を負うかどうか *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) ◇(昭和10年9月26日生まれの女性)は、昭和57、...

2025年12月10日
No.540「喘息患者が急性心不全により死亡したのは、医師が医学上の定説を著しく逸脱する薬剤投与を行い、副作用に対する適切な措置を怠ったからだとして医師及び病院に損害賠償を命じた地裁判決」

大阪地方裁判所昭和59年4月27日判決 判例タイムズ532号234頁 (争点) 医師に注意義務違反があったか否か *以下、原告を◇1ないし◇3、被告を△1及び△2と表記する。 (事案) A(昭和27年生まれの男性)は、昭和54年3月中旬ごろから朝方咳が出るようになり、Oクリニックで気管支炎の診断のも...

2025年11月10日
選択のポイント【No.538、539】

今回は、癌患者に対する標準的ではない治療法や自由診療として行われた治療法についての説明義務違反が認められた裁判例を2件ご紹介いたします。 No.538の判例紹介にあたっては、一審の東京地裁平成9年4月25日判決(判例タイムズ968号210頁)も参考にしました。 No.538の事案で、裁判所は、患者な...

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