今回は、脳梗塞発症に関連し、病院の責任が否定された判決を2件ご紹介いたします。
No.152の判決では、患者と病院側で、患者が入院しなかった経緯について双方の主張に食い違いがありました。患者は、「医師から入院を勧められなかったし、入院を拒否しなかった」と主張し、病院側は、「患者に対し入院を強く勧めたが患者がこれを拒否した」と主張しました。
裁判所は患者自身が産婦人科医院を開業している医師で、複数の入院患者が患者の開業している産婦人科医院にはいたこと、分娩介助にかかる診療行為は深夜に及ぶこと、患者の夫も医師ではあるが専門領域が異なること、被告となった市立病院側では緊急外来を担当していた研修医が入院決定権限を有する別の医師に連絡をとり、その医師が診療にあたったことなどを総合して、患者と病院側で入院をめぐって話がされたが、患者が入院に消極的な姿勢を示したことがうかがわれると判示しました。
No.153の判決では、訴訟の途中で原告であった患者が死亡しました。患者の子供は当初から患者とともに訴訟の原告だったのですが、患者の地位を受継した結果、原告兼患者訴訟承継人という肩書で訴訟の当事者となりました。さらに、患者よりも先に死亡していた患者の三男の子供(患者の孫)は、当初は訴訟の原告ではなかったのですが、患者の代襲相続人(親よりも先に子が死亡しているときには孫が親の相続人となります。この場合の孫を代襲相続人といいます)として原告の地位を承継しました。
両判決とも実務の参考になると思われます。