今回も、最高裁判所のホームページで紹介された、地方裁判所の判決からご紹介します。
病院側に過失(注意義務違反)があっても、その過失と患者に生じた結果との間に相当因果関係がなければ、その過失については病院側に責任は生じません。損害賠償の範囲も、過失と相当因果関係のある損害に限られます。
No.8の判決は、認定した複数の過失のうち、一つについては患者死亡との間の因果関係を否定しました。
No.9の判決は、病院側に過失がなければ患者の後遺障害が現在よりは軽い症状にとどまっていたであろうという限度で、相当因果関係を認定しました。
No.10の判決は、判決時点で被告病院において完全看護を受けている重度の後遺障害を負った患者につき、将来被告病院を退去した後の介護施設入居費用について、病院側の過失と相当因果関係ある損害とは認めませんでした。