今回は、眼科に関連する判決を2件ご紹介します。
No.74の判決では、大学病院における眼科と内科との間で、診療依頼状や返信を患者に持参させて他科を受診させるという方法で検査結果の伝達を行っており、眼科の診断結果が内科医師に伝わるまでに3ヶ月近く経過したことにつき、眼科と内科双方の医師の義務違反が指摘されています(ただし、眼科医師は被告になっていません)。
No.75の判決は、コンタクトレンズ販売会社の販売店の隣りに開設し、業務上提携をしている眼科医師と、販売会社の責任が問われたケースです。
原告側は、眼科を実質的に経営しているのはコンタクトレンズ販売会社であるとして、 眼科医師の過失についても、コンタクトレンズ販売会社が使用者責任(*民法715条)を負うと主張しました。 裁判所は、眼科の経営の実質についての判断はしませんでしたが、被告会社と眼科医師とは、コンタクトレンズの処方、販売等について密接に協力して行ったとして、眼科医師の過失と被告会社(被告会社従業員)の過失とが、共同不法行為(*民法719条)の関係にあるから、原告に生じた損害に対して、眼科医師と被告会社は連帯責任を負うと判示しました。
* 民法715条1項本文 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
* 民法719条1項前段 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。