今回は、小児科に関連する医療事故で病院の責任が認められた判決をご紹介します。このうち、46の判決は、医師だけでなく、薬剤師にも連帯責任が認められた事案です。また、裁判所が認容した損害賠償の内訳の中に、「弁護士照会」という記載がありますが、これは弁護士法第23条の2に規定する制度を利用した、病院宛ての照会のことと思われます。「弁護士会照会」、「23条(の2)照会」等と呼ばれることもあります。
弁護士法第23条の2は、1項で「弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申出ることができる。申出があった場合において、当該弁護士会は、その申出が適当でないと認めるときは、これを拒絶することができる。」、2項で「弁護士会は、前項の規定による申出に基づき、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる」と規定しています。
個々の弁護士が受任事件の処理にあたって必要な資料を収集する手段として、所属弁護士会による必要性・相当性の審査を経たうえで、弁護士会から公務所等に照会がなされます。
この制度が設けられた趣旨は、弁護士が職務活動を円滑に処理するためとともに、裁判所の真実の発見と公正な判断に寄与することを目指すとされています。
弁護士会照会は、守秘義務等との関係で、回答が拒絶されることもありますが、弁護士にとって、重要な証拠収集手段の一つとして機能しています。