医療判決紹介:最新記事

選択の視点【No.426、427】

今回は、いわゆる期待権侵害を理由とする慰謝料の請求が認められた事案を2件ご紹介します。

最高裁判所平成12年9月22日第二小法廷判決は、「医師の過失と患者の死亡との間の因果関係の存在は証明されなけれども、その過失がなかったならば患者がその死亡の時点においてなお生存していた相当程度の可能性が認められる場合には、患者がその可能性を侵害されたことによって被った精神的損害が賠償されるべきである」と判示しました。

この「過失がなかったならば患者がその死亡の時点においてなお生存していた相当程度の可能性の侵害」のことを「期待権侵害」呼ぶことがあります。

患者の遺族から、主位的には医師の過失と患者の死亡との間に因果関係があることを前提とした、逸失利益などを含む損害償請求が、予備的には因果関係が認められなくても期待権を侵害されたことに対する慰謝料の損害賠償請求がなされることがあります。今回の2件の事案も、過失と死亡の因果関係が争点の一つになっています。

両事案とも実務の参考になろうかと存じます。

カテゴリ: 2021年3月10日
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