今回はリウマチの治療法に関し、医師の過失が認められた裁X判例を2件(1件は治療薬の副作用、もう1件は、喘息治療に転用された冷凍療法がそれぞれ問題となりました)ご紹介します。
No.420の事案では、医師本人は、裁判所での尋問で、注射をする度ごとに、副作用のXについて問診をしたと供述しましたが、裁判所は、抽象的に問診したというだけで、具体的にどのような点について問診、診療したのか明らかではないとし、患者本人の尋問結果が医師から注射する度ごとの問診、診療はなかったというものであったことに照らし、医師本人の供述は信用できないと判示しました。
No.421の事案では、医師(病院)側は、患者との間で冷凍治療契約を締結したにすぎず喘息の治療契約を締結したものではないから、医師(病院)の注意義務は冷凍治療を落ち度なく実施することにとどまると主張しました。しかし、裁判所は、患者が気管支喘息の治療のために冷凍療法を受けるため入院していたこと、それを医師(病院)も認識してその入院に応じたことは当事者間に争いがないから、冷凍治療室に入っている際における喘息発作はもちろん、準備段階として予備室に入室した際に起きた喘息発作であっても、医師(病院)は、その発作に対し、その症状に応じてその悪化に至らないように適切な治療措置を講ずべき注意義務を負ったものというべきであるとして、医師(病院)側の主張を排斥しました。
両事案とも実務の参考になるかと存じます。