今回は、美容整形に関して医師の責任が認められた判決を2件ご紹介します。
No.418の事案では、医師による治療を怠ったことも債務不履行であると認定されました。しかし損害については、裁判所は、そもそも、脱毛治療として被告病院が行っていたところのものは、患者に施された2つの方法の他にはより簡略なものが1、2あるにすぎず、それらはいずれも高度な医学的判断や技術を要するというものではなく、その意味では医療行為というには値しない極めて簡易な処置であり、加えて、証拠上も被告病院にはこれら以上に医学的によりすぐれた脱毛治療法やそのための設備があるとも認められないことからすると、実際にXに対して施された治療の内容は医師の手によるか看護師によるかでその効果や副作用の有無につき格別の差異があるわけではないと考えられることからして、これによって患者に損害を与えたとは認められないと判示しました。
No.419の事案では、患者は、手術部位付近について、痺れ的な痛み(普段は感じないが寒くなるとつっぱったような痛みがあったり、動いた後とか座ったりすると引っ張られたような痛みがある)を主張しました。
しかし、裁判所は、患者の訴える痛みについては、これを裏付ける他覚的所見はなく、平成元年7月の第2回手術後、平成5年になって大学病院に通院するまでは、医療機関で治療を受けようとしたこともなかったことを指摘し、上記痛みは、外科的手術による傷跡についての感覚異常や精神的なものと解する余地があり、金銭賠償が必要な独立した後遺障害とまで認定することは困難であるとしました。
両事案とも実務の参考になろうかと存じます。