医療判決紹介:最新記事

選択の視点【No.332、333】

今回は、病院側に胎児心拍数の監視・観察を怠った過失(注意義務違反)が認められた判決を2件ご紹介します。

No.332の事案では、判決文で、「助産婦」と記載されている箇所は「助産師」に改めました。

同事案では、助産師は、新生児を未熟児集中治療室に運んだのは午前4時の分娩直後であって、入院が午前4時6分ということはあり得ないとの趣旨の証言をしましたが、裁判所は、助産師は生後1分のアプガールスコアを測定し、胎盤の娩出を確認した後に新生児を未熟児集中治療室に運んでいること、この入院が事前に予測されていたものではなく、また、その時間帯からすると、同室での蘇生の準備にもそれなりの時間を要したものと認められることに鑑みると、入院が午前4時6分、気管内挿管の開始が午前4時10分という診療録の記載は、助産師の証言を前提としても必ずしも不自然とはいえないとして、診療録の時間経過を採用しました。

No.333の紹介に際しては、掲載誌(判例タイムズ)の解説も参照しました。

同事案では、損害額の算定にあたり、新生児に一定の脳性麻痺が発症することは不可避であった可能性があることを考慮し、医師側の過失によって生じた損害のうち、逸失利益と介護費用については総額ではなく、その8割を相当としました。

両判決とも実務の参考になろうかと存じます。

カテゴリ: 2017年4月20日
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