今回は、膀胱癌に関する裁判例を2件ご紹介します。1件は医師の責任が否定され、もう1件は医師の責任が認められています。
No.290の事案では、患者遺族は、イレウスによる脱水症または多血症が患者の脳障害の原因となったと主張しましたが、裁判所は、脱水症の発症も多血症の発症も認められないとして患者遺族の主張を排斥しました。
No.291の事案では、一審の認めた損害賠償額よりも控訴審の認めた損害賠償額は減額されていますが、その理由としては、患者の逸失利益を算定するにあたって、適切な治療を受けていれば患者が更に生存し得た年数についての判断の違いと、遺族の慰謝料として相当とする金額の違いが挙げられます。
両事案とも実務の参考になろうかと存じます。