医療判決紹介:最新記事

選択の視点【No.274、275】

今回は、帝王切開に関する医師の過失が認められた事案を2件ご紹介します。

No.274では、胎児が母体内で死亡しました。両親は、胎児が38週に達し、母体外で生存可能な状態にまで成長しており、出産が目前であったのであるから、出生後死亡した場合と同様に逸失利益の損害賠償請求権を認めるべきで、両親がその逸失利益を相続した旨主張しました。しかし、裁判所は、胎児である間に生命を失った場合には、胎児を被相続人とする相続ということは考える余地がないとして、逸失利益の請求を認めませんでした。

No.275では、病院側は、脳性麻痺の原因は不明だと主張して、因果関係を争いました。

しかし、裁判所は、事実経過・医学的知見・鑑定意見・証人の証言などに基づき、新生児の脳性麻痺の原因は、周産期の低酸素症であると認定し、さらに、分娩監視装置による継続的な胎児心拍数の観察を行っていれば、より早い段階で帝王切開術の決定をすることができたと推認できるとして、医師らの注意義務違反と新生児に生じた後遺障害との因果関係を認めました。

両事案とも実務の参考になろうかと存じます。

カテゴリ: 2014年11月10日
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