医療判決紹介:最新記事

選択の視点【No.268、269】

今回は、間質性肺炎に関連して、病院側の損害賠償責任が認められた判決を2件ご紹介します。

No.268は、ヘビースモーカーだった特発性間質性肺炎の患者について、肺癌の発見が遅れた事案で、No.269は薬剤性間質性肺炎の患者について、薬剤(ミノマイシン)投与に関する医師の過失が認定された事案です。

No.268の事案では、裁判所が慰謝料の算定にあたって考慮した要素として、患者の死亡当時の年齢(75歳)、延命可能期間(約半年)、医師の注意義務違反の態様、医師は、Aが健康保険を使わずに自費で支払っている高額な医療費に強い不満を述べていたことから、高額な検査に躊躇を感じていたことが列挙されています。

No.269の事案では、病院側は、患者がマイコプラズマ肺炎に罹患していることが疑われたため、これに対して有効なミノマイシンを投与した旨主張しましたが、裁判所は、患者の年齢、画像所見、検査結果から患者が入院前から皮膚科でミノマイシンを処方されており、マイコプラズマ肺炎の発症が予防される可能性がある旨指摘されていることなどから、病院側の主張を採用しませんでした。

両判決とも実務の参考になろうかと存じます。

カテゴリ: 2014年8月10日
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