今回は、医師の診断ミスに関して損害賠償が命じられた判決を2件ご紹介します。
No.250の事案では、医師が初診時に患者の脳梗塞を発見して治療を開始していれば、後遺障害の程度を相当程度軽減することは可能であったものの、後遺障害の発生を完全に回避することは困難であったと認められるべき事情があるとして、患者の逸失利益を算定するにあたって、50%を減額しています。
No.251の事案では、裁判所は、医師の過失と患者の後遺障害との相当因果関係は否定しましたが、他方で、「適切な医療行為を受けていたならば、重篤な後遺障害の発生を免れた相当程度の可能性」は認めました。そして、患者がこの可能性を侵害されたことによって被った損害(慰謝料)の算定にあたって、医師の義務違反の内容、患者の後遺障害の程度に加え、患者が高血圧治療のため主治医らから控えるように指導を受けていたにも拘わらず毎日20本以上の喫煙・3合以上の飲酒を続けていたこと等を総合して判断がなされました。
両事案とも実務の参考になろうかと存じます。