今回は、手術時の麻酔に関して医師の過失が認められた裁判例を2件ご紹介します。
No.242の事案では、手術が成功していたとしても、その後に予想された後遺症及び再発可能性に照らすと、患者の就労可能性は低いとして、死亡した患者の損害賠償の項目としての逸失利益を認めませんでした。事案の紹介にあたっては、一審判決(岡山地裁平成8年8月28日)も参考にしました。
No.243の事案では、患者側は休業損害(手術日から提訴日までを休業期間としていると思われます)についても請求をしていましたが、裁判所は、休業損害は、不法行為の日から症状固定日までの休業による減収を意味するものであるが、患者の症状は手術日(不法行為の日)に固定しているため、休業損害は発生していないと判断しました。
なお、判決文に「看護婦」とある点は、「看護師」に修正しました。
両事案とも実務の参考になろうかと存じます。