医療判決紹介:最新記事

選択の視点【No.232、233】

今回は、分娩後に産婦が大量出血に陥り死亡した事案を2件ご紹介します。

No.232の事案では、患者遺族側の請求していた慰謝料よりも、裁判所の認めた慰謝料額は減額されていますが、その理由の一つとして、裁判所は、客観的には病院側の過失が認められるものの、患者を救命するための懸命の治療行為を行ってきたこと等の事情を挙げています。

No.233の事案では、裁判所は医師に輸血用血液の手配が遅れた過失があるとしながらも、患者の死因が、予後が極めて不良の羊水塞栓症であり、医師の過失と患者の死亡の因果関係を否定したため、患者の逸失利益や死亡による慰謝料を損害としては認めませんでした。ただ、患者の適切な治療を受ける権利が侵害されたとして、これによる精神的損害に対する慰謝料の損害賠償を認めました。

両事案とも実務の参考になろうかと存じます。

カテゴリ: 2013年2月 1日
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