今回は、薬剤投与によるショックに関して、病院側の責任が認められた裁判例を2件ご紹介します。
No.230の事案では、病院側は、心臓疾患の素因のある患者の後遺障害は、心筋梗塞を原因とするものであるか、その影響も考えられるから、損害額を確定する場合に考慮されるべきとの主張をしました。しかし、裁判所は、事故当日患者に発症した心筋梗塞は、心停止から約1時間後であることからすれば、心筋梗塞が心停止の原因でもないし、後遺障害に寄与しているものと認めることはできないと判断しました。
また、患者の胸部疾患の既往歴は、逸失利益、将来の入院診療費、入院雑費、入院付添費の額を算定する際に考慮したため、改めて寄与度として考慮しないと判示しました。
No.231の事案では、遺族は、患者に対する事前説明義務違反の主張もしましたが、裁判所は、患者が当該病院の准看護師であったことを指摘し、内視鏡検査の必要性や危険性についての説明義務違反を否定しました。
両事案とも実務の参考になろうかと存じます。