今回は、薬品の誤投与に関する刑事判決と民事判決を1件ずつご紹介します。
No.220の判決紹介にあたっては、判例時報925号136頁の解説も参考にしました。
同解説によると、検察官の求刑は、罰金刑ではなく、医師につき禁錮8月、事務員につき禁錮4月だったとのことです。
No.221の判決の事案では、病院側は処方どおりの薬剤(ボンゾール)を患者に交付したのであって、抗癌剤のユーエフティを手渡すことなどあり得ないと主張しましたが、裁判所は、ユーエフティの薬品としての性格、入手の困難性、患者がユーエフティを入手、所持していた経緯についての患者の供述には大筋において排斥すべき不自然さがないことなどを斟酌して、何らかの事情によって、誤って医師の処方と異なるユーエフティが患者に渡されたというほかはないと判断しました。
両判決とも実務の参考になろうかと存じます。