今回は、手術前に生検をしないまま乳癌の手術を行ったことにつき、病院側の責任が認められた裁判例を2件ご紹介します。
No.216の事案で、裁判所は、当該病院で本件以前に乳房温存療法を実施した例はなく、担当医師が当該病院でも乳房温存療法を採用したいと考えていたことなどの事情を考慮すれば、医師が乳房温存療法を実施したいと考え、そのためにはできる限り生検を行わずに最終診断したいと考えていたと判示をしました。
No.217の事案に登場する「文書提出命令に応じない場合の真実擬制」とは、「当事者が文書提出命令に従わないときは、裁判所は、当該文書の記載に関する相手方の主張を真実と認めることができる。」という民事訴訟法第224条1項の規定を指します。
両事件とも実務の参考になろうかと存じます。