今回は、手術後に患者に生じた症状(No.202ではブドウ状球菌の繁殖、No.203では脊髄損傷)の原因について、具体的な特定がなされないまま(No.202では、A注射器具、B施術者の手指、C患者の注射部位のいずれかの消毒が不完全であったという選択的認定、No.203ではA手術機器の振動による脊髄損傷、B手術機器による脊髄の直接損傷、C骨片の挿入による脊髄の圧迫損傷のいずれかあるいはこれらの複合という選択的認定)、そのような症状(No.202ではブドウ状球菌の繁殖、No.203では脊髄損傷)が起きないようにすべき注意義務を怠ったとして医師の過失が概括的に認められた判決を2件ご紹介します。
No.202の判決紹介にあたっては、ウエストロージャパンのデータベースに掲載されている一審判決(昭和36年10月4日松山地裁今治支部判決)及び控訴審判決(昭和38年4月15日高松高裁判決)も参考にしました。
No.203の判決紹介にあたっては、判決を掲載している判例タイムズの解説部分も参考にしました。
両判決とも実務の参考になろうかと存じます。