今回は、転送義務違反や、専門医への紹介義務違反が争点となり、結論としては患者の賠償請求が否定された最高裁判所の判決を2件ご紹介します。
No.198の判決紹介にあたっては、一審判決(東京地裁平成16年1月22日判決・判例タイムズ1155号131頁)及び控訴審判決(東京高裁平成17年1月18日判決・判例時報1896号98頁)も参考にしました。
No.198の判決には、判決となった多数意見の他に、2人の裁判官の補足意見(多数意見を補足する内容)と2人の裁判官の反対意見(本件事案において、適時に適切な医療機関へ転送され、適切な検査・治療などの医療行為を受ける利益を侵害された患者に対して、国は精神的損害を賠償すべきだという内容)が付されています。
No.199の判決紹介にあたっては、判例時報に記載されていた上告受理申立て理由も参考にしました。No.199の判決は裁判官全員一致の意見によるものです。
いわゆる「期待権侵害」についての最高裁判所の考え方については、No.199の判例の解説(判例時報2108号45頁/判例タイムズ1344号110頁)にまとめられていますので興味のある方は是非お読み下さい。
両事案とも、実務の参考になろうかと存じます。