今回は、美容整形外科手術における説明義務違反が認められた判決を2件ご紹介します。
No.188の事案では、判決の別紙(これについては判例タイムズ等の掲載誌をご参照下さい)として「診療経過一覧表」及び「説明経過一覧表」が添付されており、「診療経過一覧表」には、「年月日」、「診療経過(入通院状況・主訴・所見・診断)」、「検査・処置」、「証拠」、「原告の反論」という項目があり、「説明経過一覧表」には、「年月日」、「説明内容」、「原告の反論」という項目があります。体裁からすると、医師の側でまとめた内容のうち、患者側で争っている部分に下線を引いて、患者側の反論を記載しているもののように見受けられます。
No.189の事案では、患者が年齢を10歳若く申告していましたが、判決は事実経過としてそのことを指摘し、また、患者がそれ以前に美容整形手術の経験がなかったという事実の指摘の際に言及しているにとどまり、各争点に対する裁判所の判断の根拠としては言及していません。従って、患者側の年齢の過小申告は裁判所の争点に関する判断に直接の影響を及ぼしてはいないと考えられます。
両判決とも実務の参考になろうかと存じます。