医療判決紹介:最新記事

選択の視点【No.180、181】

今月は、癌手術の縫合不全について病院側の損害賠償責任が認められた判決を2件ご紹介します。

No.180の事案では、患者の胃壁に穿孔が生じ、再手術に至った原因について、患者遺族側は主位的にはサンプチューブによる圧迫であり、予備的には縫合不全であると主張しました。病院側は縫合不全が原因であると反論しました。そして裁判所は、再手術に至った原因は縫合不全が生じたからであり、その縫合不全はサンプチューブを不適切な位置に固定したことにあると判断し、サンプチューブ固定における操作の誤りやレントゲン写真での位置の確認の見落としあるいは認識しながら固定し直さなかったことが、医師の過失ないし債務不履行に当たると判断しました。

No.181の判決紹介にあたっては、同じ文献に紹介されていた、一審判決も参考にしました。この事案では、縫合不全の発見の遅延と縫合不全に対する適切な処置を怠ったことが、医師の過失であると判断されました。

両事件とも実務の参考になるかと存じます。

カテゴリ: 2010年12月 7日
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