今月は、絞扼性イレウスによる死亡事案について、病院側の責任が認められた判決を2件ご紹介いたします。
No.174の判決紹介にあたっては、一審判決(金沢地裁平成18年9月4日判決・判例時報1980号128頁)も参考にしました。なお、この事案では、医師の過失について一審判決は「10月1日午後0時までに、絞扼性イレウスであるかどうかの確定診断を下すためにCT検査の実施を決断すべき注意義務の違反」であると判示しましたが、控訴審は、「10月1日午後1時20分の時点で開腹手術を決定し、その実施(実施準備)に着手すべき義務の違反」であると判示し、注意義務の内容が変更されています。
No.175は患者は死亡当時8歳2ヶ月の小学生でした。裁判所は、おそらく鑑定の結果からの引用かと思われますが、「小児の腹部は『ブラックボックス』であり、常に急変することを念頭に、重要疾患を見逃さず初期評価を繰り返し再検討することが必要である」と判示しています。
両判決とも実務の参考になろうかと存じます。