医療判決紹介:最新記事

選択の視点【No.172、173】

今月は、高齢患者に対する手術における麻酔投与に関して、病院側の責任が認められた事案を2件ご紹介します。

No.172では、執刀医は麻酔高を確認したと供述しましたが、判決では「具体的に、いつ、どのような方法でそれを確認したかは説明がない」「これは、同医師の主たる関心が本件手術の対象部位に十分な麻酔が効いているかどうかという点にあり、さらに高位麻酔の危険を回避するためどこまで麻酔の効果が上がっているかということに意を用いることがややおろそかにされたからではないかと考えられる」と記載されています。

No.173では、逸失利益の算定にあたり、死亡した患者が創立した2社の同族会社からの役員報酬には、労務対価部分だけでなく実質的な利益配当部分が含まれているとして、役員報酬の50%相当額を基礎収入として逸失利益を算定しています。

両事案とも実務の参考になろうかと存じます。

カテゴリ: 2010年8月 4日
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