今回は小児科での診察・治療についての過失の有無が争点となった判決を2件ご紹介します。
No.164では、当初の主治医が3月31日(土曜日)に退職し、翌日の4月1日の日曜日から新しい主治医に変わり、4月2日には大学病院への転院が予定されていた事案ですが、裁判所は患者の急速な症状の悪化を踏まえるならば、31日午後から翌朝にかけて主治医が不在となるような事態は回避すべきであったし、3月30日午前中から31日に検査や画像診断を行い、4月1日夕方には結核性髄膜炎に対する治療を開始すべきであったと判示しました。また、女児の母親が女児にBCG接種を受けさせていなかったことを患者側の落ち度とすべきという病院側の主張を退けています。
No.165の紹介にあたっては、一審判決(東京地方裁判所平成20年2月12日判決)も参考にしました。なお、No.165の事案で患者の診察にあたった医師は業務上過失致死事件で公訴を提起されましたが、一審、控訴審とも無罪判決が下され無罪が確定しています。
両事件とも実務の参考になろうかと存じます。