医療判決紹介:最新記事

選択の視点【No.158、159】

今回は検査中の医療事故について、病院側の責任が認められた高等裁判所の裁判例を2件ご紹介します。

両事案とも、患者側の個人的な要因が症状の発生・悪化に影響を及ぼしているとして、損害の公平な分担の趣旨から、過失相殺の規定を準用して、損害額から3割を減額しています。

No.158の事案では、一審判決が患者の主張する症状からRSD又はカウザルギーに罹患したと認めることができないとして、過失や損害についての判断をすることなく患者の請求を棄却しましたが、高裁判決では患者側が逆転勝訴(一部)しています。

No.159の事案では、患者側の請求の一部を認めた一審判決に不服の病院側が控訴し、患者側もさらに多額の損害賠償を求めて附帯控訴(本来の控訴期間が経過しても、相手方が控訴した場合に、行うことのできる不服申立て手続き。相手方が控訴を取り下げた場合には効力を失う)しました。しかし高裁は両方とも棄却し、一審判決の判断を相当としました。

両判決とも実務の参考になろうかと存じます。

カテゴリ: 2010年1月 8日
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